遺伝子組換え作物隔離温室からの未処理排水の緊急移送事案について

発表日:平成26年6月13日

 

国際農林水産業研究センター(JIRCAS)では、遺伝子組換え作物を試験栽培する際には、カルタヘナ法に基づく拡散防止措置を講じた施設(第二種使用等施設)として隔離温室を用い、発生した実験排水等については不活化処理を行った上で施設外に持ち出すこととしています。

 今般、同施設(隔離温室)の汚水槽において異常増水が生じ、野外に溢水する危険性が生じたため、緊急避難的に不活化処理前の実験排水を屋外排水枡を経由して農業生物資源研究所(生物研)の別の実験排水処理施設(JIRCASと同敷地内の大わし地区)の貯留槽Cに移送・個別貯留しました。なお、本移送に伴う実験排水の外部漏出は確認されておらず、現在のところ安全に管理されております。現在、原因究明を急ぐとともに、実験排水のモニタリング等に万全を期しております。一方、生物研では排水管等の滅菌を行い、滅菌処理の済んだ水の一部を外部下水に放流いたしました。

 このような事態が生じたことをお詫び申し上げるとともに、今後はこのような事態を生じることのないよう、再発防止策を講じます。

* カルタヘナ法とは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」

 

1.経緯と概要

 平成26年6月8日(日)の午前中にJIRCAS隔離温室汚水槽において、異常な増水が観察されました。その後も継続的に増水が認められたため、同日午後から、野外への溢水及び排水口から実験室内への排水逆流を回避するために、緊急措置として水中ポンプを用いて滅菌・不活化せずに、汚水槽から屋外実験排水枡経由で汚染水を移送し、この汚染水は農業生物資源研究所(生物研)実験廃水処理施設(JIRCASと同敷地内の大わし地区、当該温室近傍で距離100m以内)の3つの貯留槽(A槽、B槽、C槽 各容量500t)のうちの貯留槽C に貯留されました。上記措置は、カルタヘナ法に定められた拡散防止措置の内容を逸脱する結果となりました。

 一方、生物研では、6月10日(火)に汚染水の流入経路にあたる排水管について、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて滅菌処理を行いました。さらに、排水管の付着水が貯留槽Aに流入していることが否定できないことから、槽内に滅菌水を流し込み、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた滅菌を行いました。貯留槽Aの実験廃水については、満水となったことから外部下水へ放流しました。

 なお、未滅菌実験廃水の外部漏出は確認されておらず、現在のところ安全に管理されているとともに、外部下水への放流水についても滅菌・不活化処理済みですので有害性はございません。現在、原因究明を急ぐとともに、実験廃水のモニタリング等に万全を期しております。

* カルタヘナ法(研究第二種使用等)においては、遺伝子組換え生物等を含む廃棄物(実験廃液等)を、施設外に移送・廃棄する場合には、あらかじめ不活化処理を行うことによって拡散防止措置を講ずることとされています。

2. 原因及び排水の現況

  1. 隔離温室の汚水槽の異常増水の原因
    異常増水の原因は現時点では不明ですので、早急に原因を究明いたします。
  2. 移送した廃水の状況
    現在、生物研の実験廃水処理施設の貯留槽へ貯留し、個別管理されております。

3. JIRCASにおける対応

  1. 未処理廃水を通水した屋外排水枡周辺は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の散布により、滅菌・不活化処理を行いました。
  2. 隔離温室汚水槽の使用を全面的に中止いたしました。
  3. 遺伝子組換え実験安全委員会を開催し、生物研実験廃水処理施設に貯留している廃水の処理方策を検討しております。
  4. 実験廃水処理施設の管理者である生物研と情報共有し、共同して対策を検討してまいります。
  5. すでに文部科学省研究振興局、農林水産技術会議事務局、茨城県及びつくば市にも経緯報告を行いました。

4. 再発防止策

 早急に地下汚水槽の構造上の問題の有無及び汚水槽への流入管の劣化状況等を点検し、異常増水の原因を究明の上、必要な対応を講じて参ります。

 また、本件に関し、直ちに理事長から全職員に対し本事案の説明を行うとともに、今後、上記施設関連職員への再訓練を行うことといたします。さらに、緊急時対応マニュアルを見直し、再整備を行うことといたします。

問い合わせ先

  • (独)国際農林水産業研究センター  茨城県つくば市大わし1-1
    • 理事 安中 正実
    • 安全管理室長 仲西 康幸
    • 情報広報室長 森岡 伸介
  • (独)農業生物資源研究所
    • 安全管理室長 立石 剣

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