研究成果情報 - アフリカ
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- ヤムイモの収量は個体の性別と開花日に強く影響を受ける(2022)
ヤムイモは雄株と雌株に分かれるが、開花日がイモ肥大期よりも早い場合には遅い場合と比べてイモ収量が高くなり、さらにその増加程度は雄株よりも雌株で大きい。雌株や開花日が早い系統を交配親に用いるとともに、そのような系統を選抜することで、収量改善に向けた品種育成を効率的に進めることができる。
- 根圏土壌を加えたリン鉱石添加堆肥は化学肥料と同等にソルガム収量を増加させる(2022)
サブサハラアフリカの農業生産性を制限している土壌の低いリン肥沃度の改善に向けた新規有機肥料として、ソルガム残渣にリン鉱石と根圏土壌を加えて堆肥化するとリン鉱石土壌添加堆肥が得られる。このリン鉱石土壌添加堆肥は、ソルガム栽培土壌の生物性を高め、既存の化学肥料と同等の増収効果をもたらす。
- 西アフリカの群生相化したサバクトビバッタは産卵直前に雌雄が合流(2021)
アフリカで大発生するサバクトビバッタの群生相化した成虫は、雌雄がそれぞれの性に偏った集団を形成しているが、日中、産卵直前のメスがオスの集団に飛来、交尾し、夜間に集団で産卵している。この行動特性を応用することで、集団形成の時間と場所を特定でき、使用する農薬の量の軽減が期待できる。
- メタ解析により明らかになったアフリカ陸稲への施肥効果(2021)
アフリカにおける主要陸稲品種NERICA4の栽培試験データをメタ解析に供し、化学肥料の増収効果を環境要因に応じて定量的に評価する。結果は粘土含量が異なる土壌間で、降水量や窒素施用による異なる効果を示し、アフリカ陸稲栽培での施肥設計の指針となる。
- トウジンビエとササゲの4列配置間作、ローテーションと栽植密度の組合せにより作物バイオマスとトウジンビエ収量は増加する(2010)
トウジンビエ(栽植密度6300本/ha)とササゲ(栽植密度6300~2000本/ha)を4列配置間作で配置し、両作物をローテーションすることで、合計バイオマスは4割、トウジンビエ収量は5割増加する。
- 西アフリカサヘル地域におけるMother-Baby手法を用いた肥沃度管理技術の普及可能性の評価(2010)
サヘル地域で普及確度の高い技術は、トウジンビエとササゲの間作、トウジンビエ脱穀残さ、家畜糞尿の利用や化学肥料との併用である。普及可能性は技術の有効性と投入資材の入手しやすさによって決定される。
- 西アフリカサバンナ低湿地における雑草データベースの構築(2010)
アフリカ氾濫原低地のイネの収量向上に効果的な雑草防除体系を確立するための基盤情報として、低湿地に生育する雑草を同定・分類するとともに、さく葉標本と生植物の画像を作成し、データベース「Plants in lowland savanna of West Africa」を構築した。
- タイレリア・パルバ原虫感染ダニの牛皮膚付着部位における免疫担当細胞の動態(1997)
東海岸熱に対するワクチン開発のための基礎的知見を得るために、タイレリア・パルバ原虫感染ダニの付着部位である牛皮膚における免疫担当細胞の動態を、免疫組織化学により明らかにした。
- アフリカ飼養牛の環境適応性と生産性の両遺伝能力を同時に推定する手法(1994)
アフリカ飼養牛のトリパノゾーマ及び暑熱等に対する環境適応性の指標として牛群滞在日数をとりあげ、さらに乳等の生産性の遺伝能力を同時に推定する手法を開発した。