ファルカタの成長は地域個体群で異なり葉の窒素濃度が成長速度の指標になる
背景・ねらい
ファルカタ (Falcataria falcata) はインドネシア、ソロモン諸島、パプアニューギニアなどが原産のマメ科の樹木で、世界一成長が速い樹木の一つである。加えて、木材は適度な強度と加工性をもつことから、集成材や合板の原料として需要が高く、近年植林面積が拡大している。しかし、同一の植林地内でも成長速度の個体差が大きいため、木材生産性を向上させるためには、成長の速い個体の選抜と、それらの植林による成長速度の均一化が課題である。そこで、成長のばらつきの原因を解明し、成長速度と関連する簡便な指標を同定できれば、優良個体の選抜にかかる時間を短縮できる。個葉の光合成速度、窒素濃度や葉重量当たりの葉面積(SLA)などの葉の特性は、樹木の物質生産に影響するため、成長速度と関連する場合が多く、指標として有効だと考えられる。しかし、ファルカタについては、遺伝的に異なる地域個体群間での成長特性や葉の形質の違いが不明で検証が必要である。本研究では、インドネシアとソロモン諸島の遺伝的に異なる個体群を用い、ファルカタの相対成長速度と、光合成速度ならびに光合成に関連する葉の特性との関係を検討する。成果の内容・特徴
- インドネシアとソロモン諸島の9地点(図1A)から得られたファルカタの種子を同一環境で生育させた場合(図1B)、3週間の直径と樹高の変化から得られる個体重の相対成長速度*に個体群間で大きな差がみられる(図2)。
- 個体上部の葉では、個葉の最大光合成速度**と窒素濃度に個体群間の差が認められるが、SLAには差がみられない。
- 各個体群の平均の最大光合成速度は葉の窒素濃度と正に相関する(図3)。
- 各個体群の平均のSLAは相対成長速度と相関しないが、葉の窒素濃度は相対成長速度と強い正の相関を示す(図4)。
- 葉の窒素濃度が高く、光合成速度が高い個体群ほど成長が速いため、この特性を指標とすることで、成長速度の速い個体を簡便に選抜することができ、優良個体の選抜にかかる時間の短縮が可能となる。
* 相対成長速度 : 重量当たりの成長速度を表し、値が大きいほど効率よく成長できることを示す。
** 最大光合成速度 : 光や水、温度などの制限がない条件下での光合成速度の最大値を表す。
成果の活用面・留意点
- ファルカタの成長速度と光合成特性には遺伝的な基盤が存在することが示唆され、育種によって、優れた成長や生理特性を有する品種の開発に活用できる。
- 葉の窒素濃度を成長の指標とすることで、多様なファルカタの育種集団において、優れた成長特性を有する個体の選抜が加速化する。
- 環境変動が大きい植林地および成木でも同様の試験を行うことで本成果の妥当性が高まる。
具体的データ
- 分類
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研究
- 研究プロジェクト
- プログラム名
- 予算区分
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交付金 » 第5期 » 環境プログラム » 環境適応型林業
受託 » JST/JICA SATREPS » 気候変動適応へ向けた森林遺伝資源の利用と管理による熱帯林強靭性の創出
- 研究期間
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2021~2025年度
- 研究担当者
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河合 清定 ( 林業領域 )
ORCID ID0000-0001-8224-0515科研費研究者番号: 50846334田中 憲蔵 ( 林業領域 )
ORCID ID0000-0002-4856-7204科研費研究者番号: 30414486谷 尚樹 ( 林業領域 )
ORCID ID0000-0001-9878-6352科研費研究者番号: 90343798Faridah Eny ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0000-0001-7795-5129Figyantika Arom ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0000-0002-7783-7568Romadini Pratiwi Nesty ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0009-0006-3016-7655Sawitri ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0009-0000-2925-7027Prehaten Daryono ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0000-0002-1070-1893Widiyatno ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0000-0002-6611-5009Mohammad Na’iem ( ガジャマダ大学 )
ORCID ID0000-0002-8239-6189津村 義彦 ( 筑波大学 )
ORCID ID0000-0002-9844-0914科研費研究者番号: 20353774 - ほか
- 発表論文等
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Faridah et al. (2025) Trees 39: 78https://doi.org/10.1007/s00468-025-02652-8
- 日本語PDF
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2025_A03_ja.pdf1.9 MB
- English PDF
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2025_A03_en.pdf1.6 MB
※ 研究担当者の所属は、研究実施当時のものです。