研究成果情報 - インドネシア
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- 衛星データ等の地理情報による西ジャワ州傾斜畑地域土壌侵食危険度図の作成(2002)
インドネシア西ジャワ州にある傾斜面上の畑では、降雨による土壌侵食の危険性があるが、危険度の高い地域の分布がリモートセンシングデータを用いて解析され、地理情報として示すことができる。ここでは、雨季前の9月に豪雨が降る年があるが、この時期に裸地状態としないことにより、土砂が大量に流出することを抑制することができる。
- 西ジャワ高原野菜地帯における1年3作の短期輪作によるキャベツ根こぶ病の抑制(2002)
西ジャワ高原野菜地帯の主要作物であるキャベツに多発する根こぶ病被害は、ニンジン、ジャガイモを組み込んだ1年3作の輪作により、初期生育が順調に保たれ、実用的に被害の無い程度の収量が得られるまで制御することができる。この効果は作付け順序を変えても変わらず、また1作期の休閑も有効である。
- インドネシア産大豆の豆腐・テンペへの加工適性(2000)
インドネシア産大豆は、輸入米国産大豆と比べタンパク質含量が高く、豆腐加工適性に優れる。テンペ加工においては、粒の大きい大豆ほど収量および官能評価も高く、百粒重が15g程度の品種を用いれば、製品テンペの官能評価における輸入米国産大豆とインドネシア産大豆との明らかな差は認められない。
- インドネシアにおける大豆発酵調味液ケチャップ製造用麹菌の改良(2000)
インドネシアの醤油様大豆発酵調味液ケチャップの麹製造用に、Aspergillus 属の有用株から紫外線照射により白色変異株を作成した。同国常在のアフラトキシン生産菌との識別が容易なため、スターター(種菌)として使用できる。
- マングローブを利用した養殖排水の浄化(2000)
エビ養殖池からの排水をマングローブ植林地に導入すると、その高い窒素除去能により環境負荷を低減できる。
- インドネシア・スマトラ島における移住事業後のゴム林地の所有形態の変化(1998)
インドネシアの移住事業は移住地周辺の地元社会に大きな影響を与えた、移住事業の中心地であるスマトラ島では、地元旧往民の主な収入源はゴム林であるが、多くは森林を開拓して造成したものであった。移住地建設よって地元住民の利用可能な森林が制限されたことにより、地元村内におけるゴ払林地の売買が活発化し、ゴム栽培農家の階層分化が進行した。
- 熱帯産水産生物の日齢査定(1997)
熱帯域に分布する魚類、イカ類の耳石および平衡石の微細構造を観察し、日周輪による日齢の推定ができるようになった。
- マレーアオスジカミキリ(Xystrocera festiva)の生態と防除(1994)
アカシア等マメ科ミモザ亜科樹木害虫、マレーアオスジカミキリの拡散は緩やかで一世代には半年~8カ月を要し、幼虫は樹幹の傷口から侵入しやすいこと等、生態的特性を明らかにした。これらの特性を配慮した造林計画、保育方法によって害虫の密度を下げる簡便な被害軽減法を示唆した。