スーダンサバンナの土壌型を考慮した収量・純収益を最大化するソルガム栽培法

関連プロジェクト
アフリカ畑作システム
国名
アフリカ
要約
サブサハラアフリカ最大のソルガム生産地であるスーダンサバンナでは、土壌型がソルガム収量に大きく影響するが、各国の栽培指針では未だ土壌型が考慮されていない。当該地域で優占する3つの土壌型ごとに、ソルガムの収量と施肥による純収益(施肥で増加する収益と費用の差)を最大化する窒素施肥量、播種密度、品種の組み合わせを「最適な栽培法」として示し、これにより土壌型に応じた栽培指針の見直しが可能となる。最適な栽培法の経済的頑健性も土壌型で異なり、土壌型によっては施肥が経済的な損失をもたらす可能性がある。

背景・ねらい

 サブサハラアフリカ (SSA) で急激に増加する食料需要を満たすためには、SSAでの農業生産性の向上が不可欠である。国連食糧農業機関(FAO)の統計によれば、1980年から2020年にかけて当該地域の人口は3倍に増加しているのに対して、SSAの半乾燥地の主穀であるソルガムの単位面積当たりの生産性は20%しか増加しておらず、依然として低迷している。この問題に対処するため、SSA最大のソルガム生産地であるスーダンサバンナが広がる各国では栽培指針の再整備が進んでいるが、未だソルガムの収量を左右する(令和5年度国際農林水産業研究成果情報B12「有効土層の薄い土壌型プリンソソルにおけるソルガムの特異な施肥応答」)土壌型の違いは考慮されていない。
 そこで本研究では、スーダンサバンナで優占する3つの土壌型、作物が根を伸ばせる土層(有効土層)が約100 cmと厚く水分保持能が高いリキシソル(LX)、約50 cmのプリンソソル(PT)、約25 cmと薄く水分保持能が低いプリンソソル(PX)において、ソルガムの収量と施肥による純収益を最大化する窒素施肥量、播種密度、品種*の組み合わせ(最適な栽培法)を明らかにする。窒素のみを対象とするのは、当該地域の主要な収量制限要因が窒素施肥量のためである。

*ブルキナファソの代表的改良品種であるKapelga とSariaso14を対象とした。

成果の内容・特徴

  1. 最適な窒素施肥量、播種密度、品種の組み合わせは、LXでは74 kg ha-1、5.6 株 m-2、Sariaso14、PTでは74 kg ha-1、8.3 株- m-2、Kapelga、PXでは37 kg ha-1、3.1 株 m-2、Kapelgaである(表1)。各国の栽培指針では、窒素施肥量は土壌型によらず30 kg ha-1程度に設定されているが、LXやPTでは窒素施肥量を増やすことで収量および純収益を向上できる(図1)。
  2. 価格が大きく変動した2010年から2022年までのブルキナファソにおける肥料価格**および農家の販売価格***(図2)に基づいて、最適な栽培法での施肥による純収益を算出すると、純収益の平均値は有効土層の厚さを反映してLX>PT>PXである(図3)。
  3. 最適な栽培法の経済的頑健性も土壌型で異なり、LXやPTでは肥料価格が高騰しても施肥による純収益はプラスを維持できるが、有効土層が薄いPXでは施肥による純収益がマイナスになり得る(図3)。
** 世界銀行グループのデータベースに基づく。
*** FAOの報告書に基づく。

成果の活用面・留意点

  1. 本研究成果により、スーダンサバンナが広がる各国において、従来のソルガム栽培指針をより施肥効率の良いものへと改良できる。
  2. 本研究でのソルガムの収量および施肥による純収益は、播種2週間後に基肥(窒素量で14 kg ha-1、リン酸量で23 kg P2O5 ha-1、カリウム量で14 kg K2O ha-1)、4週間後に1回目の追肥(窒素量で11.5 kg ha-1もしくは30 kg ha-1)、6週間後に2回目の追肥(1回目の追肥と同量)を行った結果であり、同じ窒素施肥量でも施用する回数や時期が異なる場合、同様の結果が得られるとは限らない。
  3. 本研究では肥料価格および農家のソルガム販売価格が大きく変動した2010年から2022年までの価格に基づき施肥による純収益を算出したが、価格の変動がこれを超える場合には、再評価が必要である。

具体的データ

分類

技術

研究プロジェクト
プログラム名

食料

予算区分

交付金 » 第5期 » 食料プログラム » アフリカ畑作システム

交付金 » アフリカ流域管理

研究期間

2016~2025年度

研究担当者

伊ヶ崎 健大 ( 生産環境・畜産領域 )

科研費研究者番号: 70582021

井関 洸太朗 ( 生物資源・利用領域 )

科研費研究者番号: 80748426
見える化ID: 1761

南雲 不二男 ( 国際協力機構 )

科研費研究者番号: 20399372

Simporé Saïdou ( ブルキナファソ環境農業研究所 )

Barro Albert ( ブルキナファソ環境農業研究所 )

ほか
発表論文等

Ikazaki et al. (2025) Soil Sci. Plant Nutri. 71(6): 724–735
https://doi.org/10.1080/00380768.2025.2522832

日本語PDF

2025_B09_ja.pdf685.94 KB

※ 研究担当者の所属は、研究実施当時のものです。

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