2024年世界食糧賞受賞者 キャリー・ファウラー博士特別シンポジウム:作物遺伝資源多様性保全に捧げたキャリアおよび適応作物と土壌のための新ミッション

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参加申し込み期限を延長しました。(10月10日更新)

作物遺伝資源の多様性は、農業、ひいては私たちの文明の生物学的基盤として機能してきました。人類が気候変動、パンデミック、紛争など、ますます増大する課題に直面する中、これらの資源は、将来の植物育種や作物改良の取り組みにとって不可欠なものとなっています。しかし、農家の畑からは作物の遺伝的多様性が徐々に失われているため、ジーンバンクで予備を保存することが必要となってきます。不確実性に満ちた世界の未知の領域へと人類が立ち入ろうとする折に、気候耐性・害虫抵抗性・高い栄養価・耐塩性などの特性を有する作物遺伝資源の多様性は、強靭な農業、ひいては食料安全保障を確保するうえで欠くことのできない、世界的な公共財「グローバルコモンズ」にほかなりません。

米国国務省の世界食料安全保障担当特使であるキャリー・ファウラー博士は、過去数十年にわたり、作物種とその近縁種の保全促進に関する世界的な取り組みを主導してきました。博士は世界作物多様性トラスト(Global Crop Diversity Trust :Crop Trust)とスヴァルバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)の設立に尽力してきました。ノルウェーにあるスヴァルバル世界種子貯蔵庫は100万以上の固有の作物品種を保存し、現代版「ノアの箱舟」とも称されています。世界の食料安全保障に不可欠な作物の多様性と遺伝資源の保全への貴重な貢献が認められ、ファウラー博士は、ジェフリー・ホーティン博士とともに、2024年の世界食糧賞を受賞します。

ファウラー博士は、米国国務省・FAO・アフリカ連合によるアフリカを対象とした合同イニシアチブ、「適応作物と土壌のビジョン(VACS)」の立ち上げを主導したことでも知られています。アフリカの農業は、長い間収量の低迷に苦しみ、増加する人口を養えない状態が続いてきました。その原因として、多様で栄養価が高く気候変動に強靭な伝統的な作物の育種研究や、不均一な土壌条件に対応する肥沃度管理に関する研究に関して歴史的に十分投資が行われてこなかったことが指摘されています。異常気象や土壌劣化の影響が増大する中、アフリカの食料栄養安全保障を確保するためには、適応した作物や土壌の潜在能力を解き放つことが不可欠です。強靭な食料システムの2つの基盤である作物と土壌に同時に対応するには、従来の縦割りのアプローチを超えた学際的な連携が必要です。

本シンポジウムでは、まず、2024年の世界食糧賞受賞につながった、レジリエントな農業と食料システム実現のために作物遺伝資源多様性を保存してきたファウラー博士の歩みについて学ぶ機会を提供します。そのうえで、ファウラー博士がアフリカ適応作物と土壌のためのイニシアチブ(VACS)を立ち上げるに至った情熱と理由を説明いただき、アフリカでの適応作物や土壌の研究経験のあるパネリストと協力可能性のある分野について議論します。また、参加者はファウラー博士と交流し、レジリエントな食料システム構築に資する研究の最前線に関する知見について意見交換を行うことができます。

主催

国際農林水産業研究センター

後援

外務省

農林水産省

農学知的支援ネットワーク

日本学術会議

開催日
2024年10月11日(金) 14:00~16:30 (13:30受付開始)(日本時間)
場所
ハイブリッド
会場参加は東京大学弥生講堂・一条ホール (113-8657 東京都文京区弥生1-1-1) 東京大学農学部内
アクセス:https://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/
プログラム
【プログラム】※若干変更となる場合があります。

時間

演題および登壇者

14:00-14:10

開会挨拶
 小山 修  国際農研 理事長
 窪田 修  農林水産省 国際食料情報特別分析官
 西村 泰子 外務省 経済局資源安全保障室長

セッション1: ファウラー博士のキャリアを振り返る:強靭な農業・食料システムのための遺伝資源多様性保全

14:10-14:20

日本ジーンバンクの紹介
 松井 勝弘 農研機構 遺伝資源研究センター 植物資源ユニット ユニット長

14:20-14:30 

ファウラー博士の経歴紹介
 岩永 勝 国際農研 顧問

14:30-15:15 

基調講演
 Cary Fowler 米国国務省 世界食料安全保障担当特使

セッション2: VACSとは? アフリカにおける強靭な食料システム実現のための適応作物と健全な土壌のビジョン

15:15-15:25 

西アフリカの食料安全保障における、無視され十分に活用されてこなかった植物種の重要性
 Alexandros Gasparatos 東京大学 教授

15:25-15:35

スーダンサバンナにおいて将来の気候リスクを緩和する土壌類型ごとのササゲ栽培システム
 井関 洸太朗 国際農研 主任研究員

15:35-15:45 

適応作物のための健全な土壌‐異分野連携の必要性
 中村 智史 国際農研 プロジェクトリーダー

セッション3: ファウラー博士との意見交換

15:50-16:25

パネルセッション、Q&A
 座長: Sarr Papa Saliou 国際農研 主任研究員

16:25-16:30

閉会挨拶
 江原 宏 名古屋大学農学国際教育研究センター センター長, 農学知的支援ネットワーク (JISNAS) 事務局長

受付期間
- (日本時間)
申込受付
国際農研 情報広報室
住所
茨城県つくば市大わし1-1
電話
029-838-6708
申込締切:
(日本時間)
Email
koho-jircas@ml.affrc.go.jp
備考
申込期限を延長しました。会場参加は200名を予定しています。登録申し込み先着順です。Zoomウェビナーを利用したオンライン視聴を併用します。
参加費

無料(どなたでも参加できます)

ポスター
問い合わせ先

国際農研 情報広報室

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