研究成果情報 - インド
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- BNI強化ソルガムの導入によりインドの施肥量削減への貢献が期待される(2024)
生物的硝化抑制(BNI)強化作物は少ない窒素肥料で高い生産性を可能にする。開発中の土壌の硝化抑制率30%のBNI強化ソルガムがインドの農家へ導入された場合、窒素施肥量はラビ(乾期)作とカリフ(雨期)作ではそれぞれ8.0%と7.4%削減と試算される。この条件では、面積当たりと収量当たりライフサイクル温室効果ガス(LC-GHG)排出量をラビ作で15.6%とカリフ作で11.2%削減可能と推定される。また、農家利益を微増させ、ラビ作では肥料補助金支出9.1%削減が期待される。
- カットソイラー(浅層暗渠)による土壌塩分・pHの改良効果は施工間隔2.5mで高い(2024)
日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」による浅層暗渠は、灌漑に起因した土壌塩類化や地中ソーダ質化の軽減に貢献する。同工法は、インド北部のヒンドゥスターン平野での2.5m間隔の施工により、土壌塩類化地域では土壌塩分を52%低減させ、また、土壌ソーダ質化地域での石膏併用により、土壌pHを0.16低下させる。
- カットソイラーによる浅層暗渠は土壌塩分を軽減する(2022)
日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」による浅層暗渠は、排水不良に伴う土壌塩類化の軽減に貢献する。インド北部のヒンドゥスターン平野において、同手法は土壌塩分を施工から4ヵ月後に8%、1年4ヵ月後に32%減少させる。
- アジア開発途上地域の農業技術開発目標の重要度(2006)
アジア開発途上地域の農業研究者、普及職員及び農家の間には、農業技術の開発目標の重要度や、技術開発目標の達成により期待される効果の認識に差がある。特に農業経営・技術普及に関する研究については、貧困解消への寄与が農家から期待されており、この分野の研究成果を農業技術政策へ反映させる努力が、研究開発への信頼醸成のために重要である。
- 根系分布からみた熱帯アジアの陸稲の水ストレス高感受性(1999)
熱帯アジアの陸稲は根系分布が一般に浅く、水ストレス下においても深層の根長密度が増加せず、根長あたりの水吸収速度も高まらないため、水ストレスに対して感受性が高い。燐酸施肥は深層での根の形成を促進し、水吸収を高める。
- 衛星データによるインド・デカン高原中央部における農地利用度把握手法の開発(1997)
衛星データから計算される植生指数値は、土地利用毎に異なった季節変化を示す。インド半乾燥地域を対象とした場合、雨季後の作期(ラビー期)後半において植生指数値により農地と他の用途との区別が可能となる。こうした特性を利用し、年々の農地利用の空間分布を推定する手法を開発した。さらに、農地分布と自然条件との対応関係を解析した。