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国際連合「世界人口予測 ・2019年版 [United Nations (2019). World Population Prospects 2019]」概要

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世界人口は2019年の77億人から、2030年に85億人(10%増)、2050年には97億人(26%)、2100年には109億人(42%)に達すると予測されている。サブサハラ・アフリカの人口は2050年までに倍増(99%)する一方、その他の地域の予想人口増加率(2019-2050年)は、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランドを除く)の56%、北アフリカ・西アジア(46%)、オーストラリア・ニュージーランド(28%)、中央・南アジア(25%)、ラテンアメリカ・カリブ諸国(18%)、東・東南アジア(3%)、欧州・北米(2%)と、地域によって異なる。

2050年までの世界人口増加の半分以上は、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、インドネシア、エジプト、アメリカ、の9か国に集中することが予測される。2027年前後に、インドが中国を上回り、世界最多人口国に浮上すると予測される。

サブサハラ・アフリカ諸国の多くと、アジア・ラテンアメリカ・カリブ諸国の一部では、現役世代(25-64歳)の増加率の高さが経済成長を牽引している。この「人口増加の配当」を実現するために、当該政府は、若年層の教育と健康に投資すべきである。

世界的に、女性一人当たりの子供の数は減少傾向にあるが、サブサハラ・アフリカ(4.6)など、高止まりしている地域もある。

65歳以上人口に対する25-64歳の現役世代の割合は世界的に下がり続け、保健・年金・社会保障等への支出要請により、財政状況・労働市場・経済成長に大きな影響を及ぼしかねない。とりわけ高齢化の進む日本では1.8と世界最低の水準である。

幾つかの国では、低い出生率や移民流出により、人口減少が始まっている。例えば中国では、2019年から2050年の間に3140万人の人口減少が予測されている。移民も人口動態の大きな要因であり、出稼ぎ(バングラディシュ、ネパール、フィリピン)や内戦(シリア、ベネズエラ、ミャンマー)による国外流出を経験する国もあれば、純流入(ベラルーシ、エストニア、ドイツ、ハンガリー、イタリア、日本、ロシア、セルビア、ウクライナ)が予測される国もある。

 

より詳しい内容に関しては、以下の報告書原文を参照のこと

https://population.un.org/wpp2019/

https://population.un.org/wpp2019/Publications/Files/WPP2019_10KeyFindings.pdf 

 

なお、概要に関する本翻訳は、国際連合から公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究戦略室  飯山みゆき)

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