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国際連合「世界人口予測・2017年改訂版 [United Nations (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision.]」概要

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2017年6月21日に国連が発表した「世界人口予測2017年改定版」によると、毎年約8300万人の人口増により、現在76億人の世界人口は、2030年までに86億人、2050年に98億人、そして2100年には112億人に達すると予測されている。

新たな人口予測に基づくと、中国(14億人・世界人口の19%)・インド(13億人・世界人口の18%)の順位が2024年までに逆転し、インドの人口が中国を上回るようになる。現在の上位10カ国の中では、ナイジェリアの人口増が目覚しく、2050年までにアメリカを追い越して現在の世界第7位から世界第3位の人口大国になると予測されている。2017-2050年までに、世界人口増の半分は、インド・ナイジェリア・コンゴ民主共和国・パキスタン・エチオピア・タンザニア・アメリカ・ウガンダ・インドネシア、の9カ国の人口増に起因すると予想される。

47カ国の後発開発途上国においては、2010-2015年の女性当たり4.3(fertility 4.3 per woman)と、比較的高い出生率を維持した結果、人口は年率2.4%で増加した。これらの国における出生率は今後数十年間で漸減することが予測されるものの、2017年時点で10億人である後発開発途上国の人口は、2050年までに33%増加して19億人に達すると予想されている。とりわけアフリカ26カ国では、2017年から2050年の間に人口が少なくとも2倍になると推定される。人口増が最貧困諸国に集中しているという事実は、貧困・飢餓撲滅、教育・保健システムの拡充、ジェンダー平等、格差解消、等、の持続可能な開発目標を2030年までに達成する上で、大きな課題を突きつける。 世界的には、出生率の鈍化により人口増加のスピードは漸減傾向にある。世界人口の46%を占める83カ国において出生率は次世代を更新するために必要な水準(女性あたり2.1)を下回っている。世界でも出生率の最も高いアフリカにおいてでさえ、女性当たり出生率は、2000-2005年の5.1から2010-2015年の4.7に下落した。ヨーロッパは例外的で2000-2005年から2010-2015年の間に女性当たり出生率は1.4から1.6に上昇した。世界的な少子化傾向の一方で、アフリカを含み、平均寿命の伸びと高齢化が進行している。高齢化が社会経済にもたらす影響は大きく、今後、各国政府は、ヘルスケア・年金・社会保障の拡充に伴う財政・政治的圧力に直面していくことになるであろう。 低・中所得途上国から高所得先進国への大規模な移民トレンドも続くことが予測される。2005-2010年の年間450万人からは減少したものの、2010-2015年の間、毎年320万人が途上国より高所得国へと移動した。とりわけシリアからは2010-2015年に420万人がトルコ・レバノン・ヨルダン等の近隣諸国へ移動し、受入国の社会経済に大きな影響をもたらしている。

より詳しい内容に関しては、元データ(https://esa.un.org/unpd/wpp/)、または以下の報告書原文を参照のこと

United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision, Key Findings and Advance Tables. Working Paper No. ESA/P/WP/248.
https://esa.un.org/unpd/wpp/Publications/Files/WPP2017_KeyFindings.pdf

なお、概要に関する本翻訳は、国際連合から公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究コーディネーター  飯山みゆき)

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