サトウキビ属「TPJ03-452」「TPJ04-713」「TPJ04-768」

「TPJ03-452」、「TPJ04-713」、「TPJ04-768」の3品種は、タイ農業協同組合省農業局コンケン畑作物研究センター(DOA/KKFCRC)と共同で、サトウキビ野生種と製糖用品種との種間交雑を利用して、育成したサトウキビ新品種である。2015年2月25日にタイ農業局植物品種保護課に新品種として登録された。
 「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は、砂糖収量は普及品種と同程度で繊維収量は多い。「TPJ04-768」は、厳しい乾季を持つ東北タイでも株出し栽培における収量減が少ないため、多回株出し栽培が期待される。
 国際農研とタイ農業局との長い共同研究の歴史で、初めて共同で申請し、登録
した品種である。TPJのTPは、DOA/KKFCRCのサトウキビ育種を行っている支所がある地名のタプラ(Tha Phra)の頭文字から、Jは国際農研の英語略称(JIRCAS)から取り、03や04は交配を行った2003年と2004年を示している。 

背景・ねらい

 世界人口の増加に伴い、食料・エネルギーの逼迫が問題となっている。その緩和には、農業生産力の低い土地での作物の生産性向上と、それによる食料・エネルギーの増産が必要であり、糖質や繊維から砂糖やエネルギーが生産できるサトウキビはその重要な候補作物である。そこで、肥沃度の低い土壌、厳しい乾季や白葉病等によってサトウキビの生産性が低い東北タイを対象として、省力的・低コストな作型である株出し栽培で多収となり、糖質や繊維質の生産性が高いサトウキビ品種を開発する。

特徴

  • 「TPJ03-452」、「TPJ04-713」、「TPJ04-768」は、2015年2月25日にタイで品種登録され、製糖用品種系統とタイ国内に分布する株出し性が優れるサトウキビ野生種(Saccharum spontaneum)との種間雑種F1を花粉親、製糖用品種系統を種子親として再交配して育成した品種である。
  • 「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は、製糖用普及品種「Khonkaen3」や「K88-92」と比べて、砂糖収量は同程度であるが、繊維収量は多い。「TPJ03-452」は3年間で「Khonkaen3」の約1.9倍、「TPJ04-768」は2年間で「Khonkaen3」の約1.6倍の繊維収量が得られる。
  • 「Khonkaen3」では、1回目株出し栽培の原料茎収量、砂糖収量、繊維収量は、新植栽培と比べると、いずれも大きく減少する。一方、「TPJ04-768」は、それらの減少が「Khonkaen3」と比べると少ない。
  • 「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は製糖用普及品種「Khonkaen3」や「K88-92」と比べて、原料茎径は細く、繊維分が多い。「TPJ04-768」は「Khonkaen3」と比べて原料茎長が長い。
  • 「TPJ04-768」は、製糖用普及品種と同程度の砂糖収量があり、厳しい乾季を持つ東北タイでも株出し栽培における収量減が少ないため、多回株出し栽培が期待される。

登録情報

■出願先国:タイ王国

農林水産植物の種類
Saccharum L. (サトウキビ属)
品種名称
① TPJ03-452
② TPJ04-713
③ TPJ04-768
旧系統名
 
出願番号
(出願日)
① 4/2556
② 5/2556
③ 6/2556
(2013/2/5)
公表日
登録番号
(登録日)
① 0315/2558
② 0316/2558
③ 0317/2558
(2015/2/25)
育成者権の
存続期間の終期
12年
(2027/2/24)
育成者権の共有者
タイ農業協同組合省農業局コンケン畑作物研究センター(DOA/KKFCRC)

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