タイの地域野菜データベース
公表年月日:平成22年3月31日
タイには熱帯気候のもとで、多様な生物種が分布しています。長い歴史の中で、人類はそれらをうまく選択し、野菜、果物、香辛料、あるいは生薬などさまざまな用途で利用してきました。タイや周辺の東南アジア諸国で地域的に利用されている植物種の多くは、世界の他の地域ではあまり知られていません。また、現在入手可能な、それらの植物に関する情報をまとめた本やデータベースは限られています。それは、一つにはタイの植物の分類が混乱していることにあります。一つの植物が地域によって異なった名称で呼ばれていたり、別の植物が同じ名前で呼ばれていたり、あるいは重複したりしています。さらには、複数の植物種に同じ名前がつけられていたりします。一方、現在では、都市化や産業の発達などの影響により、多くの植物種が毎年絶滅しています。タイの在来野菜、特に栽培化されていないものも近年では探すのが困難になってきているものが少なくありません。こうした背景から、JIRCASでは、AVRDC世界蔬菜研究センターやタイのカセサート大学などと共同で、タイの在来野菜について情報を収集し、整理し記録する事業を行っています。また、それら在来野菜が、有用な生理機能性を示すこともわかり、成分の解明や食品への利用に向けて、上記の研究機関や国内の研究機関とも共同研究プロジェクトを展開しています。私たちは、ここに提供するタイの地域野菜に関するデータベースや研究プロジェクトの成果が、現地の農林水産業に貢献し、世界の人々に安全で健康的な食料を提供できると期待しています。