熱帯域の生態系と調和した水産資源の持続的利用技術の開発(熱帯水産資源)

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2021-03-09

熱帯域の生態系と調和した水産資源の持続的利用技術の開発(熱帯水産資源)

 近年、東南アジア諸国は急速な経済発展を遂げています。その一方で、都市部と農・漁村部、経済発展の進んだ国と遅れている国での貧富の差が拡大しつつあります。水産業、とりわけ養殖業においても、東南アジア諸国における進展は著しく、例えばエビ養殖では、世界の生産量の40-50%を東南アジアが占めています。しかし、東南アジアにおける養殖業の多くは、沿岸部に広がっていたマングローブ林を切り開いて拡大してきました。このため、自然の持つ浄化機能が劣化し、環境の汚染や養殖場での病害の頻発という問題が生じるようになりました。また、陸域から流入する工業廃水や生活廃水が養殖環境の悪化に拍車をかけている地域もあります。  これらの問題を解決するため、本プロジェクトでは東南アジアにおいて、複数種を同時に飼育することにより環境保全と収益性向上を両立する養殖技術の開発を行います(図1)。また、開発の進んだ海域では生物の環境浄化機能を活用した水産資源利用技術(図2)、未開発の自然環境が残る海域においては生態系と調和した持続的な漁場利用技術を開発します。これらの取り組みにより、現地住民の生活水準向上を図るとともに、我が国への安全・安心・高品質な水産物の安定供給を目指します。

図1 複合養殖実証試験施設(フィリピン)

図2 東南アジアで重要な養殖対象種となっているハイガイ

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