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389. 気候変動と持続可能な開発目標(SDGs)の関係

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389. 気候変動と持続可能な開発目標(SDGs)の関係

持続可能な開発目標(SDGs) は、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。また2015年12月に採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く、出来る限り1.5℃に抑制するため、今世紀半ばまでに人為的な温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「脱炭素化」を目指しています。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界的に、2015年のSDGs合意以来はじめて、SDGs達成に向けた進捗が後退しています。パンデミックに限らず気候変動や生物多様性の危機など地球規模課題が立ちはだかり、2030年までの目標達成に暗雲が立ち込めています。 とりわけ、気候変動による極端現象の頻発化は、持続可能な開発の様々な側面に影響を及ぼし、とりわけ弱者に大きな影響を与えており、その解決には地球規模での協調が求められています。

2021年9月、世界気象機関(WMO)は、気候変動と持続可能な開発ゴールとの関係性を示した報告書(Climate Indicators and Sustainable Development: Demonstrating the Interconnections)を公表しました。

報告書は、次の7つの指標とSDGsの関係をビジュアル的に示すことで、貧困・不平等・環境劣化といった問題の解決における気候変動対策の重要性・緊急性を訴えました。   

  • 大気中の二酸化炭素濃度:Carbon dioxide concentration
  • 気温:Temperature
  • 海洋酸性化:Ocean acidification
  • 海洋熱含量:Ocean heat content
  • 海氷の範囲:Sea-ice extent
  • 氷河質量バランス:Glacier mass balance
  • 海面上昇:Sea-level rise. 

17のSDGsゴールのうち、上の全ての7つの指標から影響を受けるのは、SDG 2「飢餓をゼロに」です。気候変動は農林水産業に大きな影響を及ぼし、食料栄養安全保障を脅かします。他方、食料栄養安全保障の確保は、あらゆる持続可能目標にとっての前提条件となります。科学技術イノベーションを活用して気候変動適応・緩和策に取り組んでいく必要性があります。


参考文献

WMO Climate Indicators and Sustainable Development: Demonstrating the Interconnections (WMO-No. 1271)  https://library.wmo.int/doc_num.php?explnum_id=10804

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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