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993. 2024年3月 世界食料価格動向

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993. 2024年3月 世界食料価格動向 

 

国連食糧農業機関(FAO)は、4月5日、世界食料価格動向を公表しました。2024年3月の値は平均118.3ポイントで、植物油の上昇を反映し、前月から1.3ポイント(1.1%)上昇ました。前月まで7か月間続いた下落傾向を反転する上昇ではありましたが、前年比で9.9ポイント(7.7%)低い値にとどまりました。

穀物価格指標は3月に110.8ポイントと、前月比で2.6%下落、前年比で20.0%低い水準でした。世界小麦価格はEU・ロシア・アメリカからの輸出競争を受け、3か月連続で下落しました。供給過剰気味の中、中国によるオーストラリア・アメリカ産小麦の受注キャンセルと、ロシア・アメリカの2024年の収穫が順調な見込みが、価格圧力となりました。対照的に、ウクライナでのロジに問題が生じる中、とりわけ中国からの需要を受け、メイズ輸出価格は微増した一方、アルゼンチンとブラジルからの収穫時期が重なり価格上昇幅は大きくなりませんでした。コメについては、世界輸入需要が落ち込んだこともあり、3月は1.7%ほど価格が下落しました。

植物油価格指標は前月比で8.0%上昇し、1年ぶりの高値となりました。この背景には、たまたま供給が減る季節的なタイミングでの東南アジアでのパーム油に対する強い需要や、アメリカ・ブラジルでのバイオ燃料セクターからの需要を受けた大豆価格の回復がありました。さらに、原油価格の上昇は、植物油価格上昇に貢献しました。

砂糖価格は、前月比で5.4%下落しましたが、前年比で4.8%高い値を維持しています。2023・24年期の終わりにさしかかり、インドとタイでの収穫見込みが改善したことと、ブラジルからの輸出が好調なことが価格下落の背景にあります。一方、ブラジルでの長引く干ばつへ予想や原油価格の上昇が、引き続き懸念材料となっています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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