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755. 2022年も温室効果ガスの排出が増加

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755. 2022年も温室効果ガスの排出が増加

4月5日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2022年も温室効果ガスの排出が増加、人為的な活動に起因する二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素の大気中の水準が歴史的なレベルに達したと報告しました。

2022年、大気中の二酸化炭素は、2.13 ppm〔 parts per million (パーツ・パー・ミリオン、百万分率)〕上昇し、417.06 ppmに達しました。大気中の二酸化炭素は産業革命以前よりも50%高い水準にあります。2022年で、11年連続で二酸化炭素が年2ppm以上増加したことになります。2013年以前には、二酸化炭素が3年連続して年2ppm増加するようなことが記録されたことはありませんでした。

大気中のメタンも2020年や2021年の水準に匹敵する史上4番目の増加率を記録し、産業革命以前の水準の2.5倍に達しています。

2022年、亜酸化窒素の排出は、史上3番目の増加率を記録し、大気中の亜酸化窒素は産業革命以前比で24%増加しました。近年の大気中の亜酸化窒素の増加は、主に窒素肥料や農業部門における堆肥の増加に起因します。

 

NOAAの長期的モニタリングによると、大気中のメタンは1980年代に急増したあと、1990年代半ば~2000年代初頭には安定していたものの、2007年に急増しました。NOAAやNASAの研究者によると、2006年から2016年の期間の増加分の85%が家畜・農業・人および農業廃棄物、湿地そのほか水源関連の微生物の働き、によるものとされ、残りが化石燃料関連の排出増加と推計されています。一方、近年にメタンが急増している原因についてはまだ明らかになっておらず、可能性の一つとして、3年間続いたラニーニャ現象のもと熱帯湿地帯における微生物活動の活性化が指摘されています。NOAA研究者らは、気候変動によって湿地帯からのメタン排出が増加するフィードバック・ループの影響について研究を進めています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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