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691. 年末年始の欧州における記録的な高温

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691. 年末年始の欧州における高温記録

この年末年始にかけて、北・西日本は寒気に覆われ、晴れの日が続く関東でも気のせいか例年より風が冷たく感じる今日この頃です。北米もクリスマス休暇をまたいで大寒波に襲われ、多くの犠牲者がでたと伝えられています。一方、欧州は、この年末年始は記録的に暖かい気候に見舞われたようです。

世界気象機関(WMO)によると、地中海の高気圧と大西洋の低気圧により、北西アフリカからの暖かい空気が、中緯度地域に南西から強く吹き込みました。また空気が北大西洋を通過する際、通常よりも1-2℃高い海面温度に暖められました。結果として、欧州の多くの地域で20℃近い気温に達し、記録的に暖かい大晦日・元日を迎えたそうです。アルプス山脈では降雪が足りず、スキー場の運営ができないケースもあるのだとか。

2022年は、夏季に欧州で熱波が伝えられたこともあり、スペイン、フランス、ドイツ、イギリス、それぞれの気象機関により、記録開始以来最も気温が高い年であったと発表されています。WMOによると、欧州の気温は1991-2021年の期間に10年間平均で0.5℃上昇、世界平均の2倍の速さで温暖化していると伝えられています。世界的には、ラニーニャ現象により、2022年は史上5番目か6番目に気温の高い年となるのではないかと伝えられています。

今回の欧州における記録的な高温が、どの程度の確率で気候変動の影響によるものかは科学的な検証が行われることになると思いますが、常識から外れた気象現象の経験は気候変動対策への意識の高まりに貢献することは想像に難くありません。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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