塩害軽減のための浅層暗渠排水技術マニュアル

マニュアル・ガイドライン
本文フルテキスト

中央アジア地域の農業生産は、20世紀半ばからの大規模灌漑開発を通じて飛躍的に増大し、政府機関はその農地改良に多くのエネルギーと資源を注ぎ込み、乾燥・半乾燥地での営農を可能なものにしてきた。しかしながら、不適切な水管理と不十分な排水機能によって塩害が生じており、中央アジア地域の中でもウズベキスタン国では多くの地域で農業生産に深刻な被害をもたらしている。
塩害対策として、点滴灌漑、スプリンクラーなどの節水技術やリーチング、フラッシング、レーザー均平化、排水路の浚渫、暗渠排水といったものがあるが、ほとんどの対策には初期費用が必要となり、普及への大きな障壁となっている。このため、綿花栽培後の冬に実施する低コストのリーチングのみが、フェルメル(農業経営者)によって取組める唯一の対策となっている。しかし、今日では、長年の農業機械による踏圧等で形成された硬盤層が圃場の排水性を低下させており、リーチングによる効果が十分に得られておらず、圃場の排水不良に対処する必要性が生じている。

国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は、2008年から2012年にかけて「農地塩害対策調査」を実施し、高い地下水位条件下における圃場レベルでの塩害軽減対策に焦点をあてた調査を実施した。その成果として塩害対策ガイドラインをとりまとめ、セミナーを通じて広く公表するとともに塩害被害が大きい州の関係者へ配布した。新たに、2013年からは、ウズベキスタン国フェルメル評議会との共同研究覚書の下、リーチング効果の改善を目的とした「浅層暗渠技術」、周辺圃場からの影響を遮断できる「排水ブロック」に焦点をあてた調査を開始した。
この技術マニュアルは政府関係者から農家まで幅広く活用してもらうことを目的に、2013年から2017年までの農林水産省補助事業における活動の成果をとりまとめたものである。

本技術マニュアルは、日本国農林水産省、日本大使館、国際協力機構(JICA)、関係研究機関、そして、ウズベキスタン国シルダリア州の3 つの水消費者組合、「ヤンガバット」、「アフメドフ」、「ボブール」より、多大な協力を得て作成したものでる。ここに、謝意を表する。

別タイトル Shallow sub‐surface drainage for mitigating salinization Technical Manual
刊行年月日
作成者 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター ウズベキスタン共和国フェルメル評議会 (FC)
公開者 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
オンライン掲載日
国立情報学研究所メタデータ主題語彙集(資源タイプ) Technical Report
言語 jpn

関連する刊行物