雲南陸稲品種毫乃煥のいもち病抵抗性に関する遺伝分析

Tropical agriculture research series : proceedings of a symposium on tropical agriculture researches
ISSN 03889386
書誌レコードID(総合目録DB) AA00870529
本文フルテキスト
雲南省陸稲品種毫乃煥と日本品種トヨニシキ, トドロキワセ,雲南省品種麗江新団黒穀との交雑F3系統を用い, 温室において日本菌系及ひ中国菌系を接種する方法と圃場自然発病を利用する方法でいもち病抵抗性の遺伝分析を行った。
昆明圃場自然発病により毫乃煥の二つの交雑F3系統の抵抗性分離は相加効果を持つ二つの微動遺伝子によって支配されると思われた。そこでこの結果を温室で昆明菌系CO5を人工接種した実験により実証した。
日本菌系TH47-9,長67-150,研60-19に対する毫乃煥の抵抗性分離も相加効果をもつ二つの微動遺伝子対によって支配されると思われた。しかし,遺伝子の優劣性関係は接種菌系によって異なった。
日本菌系愛75-7に対する毫乃煥の抵抗性分離は一つの主動遺伝子と二つの相加効果をもつ微動遺伝子対によって支配されていた。日本菌系TH77-01に対する毫乃煥の抵抗性分離も一つの主働遺伝子と二つの相加効果を持つ微動遺伝子対によって支配されていた。しかし,この主働遺伝子は愛75-7に効果のある主働遺伝子とは別のものであった。二つの相加効果のある微動遺伝子対は愛75-7, TH77-01,及び昆明菌系CO5に対して抵抗性を示した。
稲品種のいもち病抵抗性遺伝子分析に関する研究は数多く行われてきたが,その中でも日本の研究が特に進んでいる。これまで少なくとも13種の主働遺伝子対が発見されたが,その大部分はアジア稲に由来するものである。しかし籼稲及び陸稲中の一部品種の抵抗性については既知である13種の主働遺伝子で説明できないので、これらの品種が持っている遺伝子はこれまで発見された遺伝子とは別の抵抗性遺伝子と推定される。
中国雲南省は稲の遺伝資源に恵まれているが,数多い雲南在来品種の中でも陸稲のいもち病抵抗性が特に注目されている。雲南稲のいもち病抵抗性品種の多くは陸稲であり,その中でも思茅,西双版納両地域由来のものが最も多い。
著者らは1983年から幾つかの陸稲品種を材料に用いいもち病抵抗性の遺伝分析を行ってきたがここでは西双版納品種毫乃煥についての研究結果をまとめて報告する。
刊行年月日
作成者 何雲昆 その他
公開者 Japan International Research Center for Agricultural Sciences
21
開始ページ 201
終了ページ 206
言語 jpn

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