エステラーゼのアイソザイム分析による雲南栽培稲遺伝子の品種群分類と地理的分布

Tropical agriculture research series : proceedings of a symposium on tropical agriculture researches
ISSN 03889386
書誌レコードID(総合目録DB) AA00870529
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雲南稲品種の多様性に関する研究をとおして品種群を分類するため,エステラーゼアイソザイム多型性分析を行い,次のような結果を得た。
1.エステラーゼ遺伝子はEst-l, Est-2, Est-3, Est-4の4遺伝子座を指標としたが,雲南稲のエステラーゼはすべての遺伝子座の対立遺伝子においていずれも蛮異が認められ,かつ新しい変異も認められた( 2 A酵素パンド)。
2. 雲南省内を7地区に分け,その遺伝子頻度を比較して見ると,北部地区の頻度には偏りがあるのに対して,南部地区にはいろいろな対立遺伝子が見られた。
3. 地理的変異を詳しく調べることによって品種分類の標準を推定するため, 4遺伝子座の組合せ型すなわち遺伝子型を基準として,地区別の頻度を計算して見たところ,南,北方向を軸として明瞭な地理的傾斜のあることを明らかにした。すなわち,南部地区には変異が多様であるが,北部地区への推移にともない変異が単純になっていった。
4. 以上の結果から,エステラーゼ遺伝子を基準として雲南稲品種群を分類すると,北部地区の品種はともかくとして,南部地区の品種についてみると簡単には分類の結論を出し得ないと考える。
5. 以上の結果は雲南南部地区が世界各地稲品種の多様性を包括していることを示し,またこれまでの推測を実証したことになった。今後,この地区と環境及び耐冷性などの農業形質との関係をいっそう深く研究する必要があると思われる。
刊行年月日
作成者 熊建華 その他
公開者 Japan International Research Center for Agricultural Sciences
21
開始ページ 145
終了ページ 151
言語 jpn

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