花葯長と耐冷性との関係及ぴその育種における利用

Tropical agriculture research series : proceedings of a symposium on tropical agriculture researches
ISSN 03889386
書誌レコードID(総合目録DB) AA00870529
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雲南品種と白本品種を材料に水稲品種の耐冷性と花器形質との関係について研究を行った。花葯長と柱頭長は品種によってかなり差があるが花葯長と柱頭長両方とも雲南品種のほうが日本品種より長いことが明らかになった。花葯長と不稔係数との関係が最も密接であった。すなわち,花葯長が長いほど耐冷性が強い傾向があった。花葯長と葯当り充実花粉数との間には高い正の相関があった。葯当り充実花粉数と稔実歩合との間にも高い相関があった。花葯の大きさ(充実花粉数)を耐冷性品種の形質上の指標にすることができると思われる。異なる冷害検定条件における花葯長と不稔係数の分散分析結果及び花葯長と不稔係教の環境条件による変異は次の通りである。花葯長と不稔係数の品種間差を見ると花葯長のF値(18.11)は不稔係数のF値(5.78)より大きい。花葯長の環境条件による変異は不稔係数の環境条件による変異より小さい(それぞれの環境条件間の相関係数は平均0.850及び0.688)。したがって花葯長を障害型冷害による耐冷性の指標にすれば程度の異なる冷害について正確に判別することができる。
分離世代の花器形質と耐冷性との関係をしらべた結果(供試した組合せは中母42/昆明小白穀;ニシホマレ/雲粳135であった。前世代花器形質の測定結果と次の世代の障害型冷害による耐冷性の程度によって両者の関係を推定した), F4代花葯長とF5代の平均不稔係数と関係がF3代花葯長とF4代の平均不稔係数との関係より密接であった。花葯長を耐冷性指標にして耐冷性品種を育成する場合にはF4代系統から選抜するほうがF3代の選抜より効果的であると,思われる。
刊行年月日
作成者 王懐義 その他
公開者 Japan International Research Center for Agricultural Sciences
21
開始ページ 105
終了ページ 112
言語 jpn

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