ブラジルにおける畜産および畜産研究の現状と課題

国際農林水産業研究センター研究資料
ISSN 13404334
書誌レコードID(総合目録DB) AN10442873
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ブラジルとわが国の関係は、現地における日系移民の努力と、これらの人々に対する日本の支援を仲立ちとしてきた。今世紀初めの笠戸丸による移民以来、非常に多くの人々が海を越えブラジルに移住した。こうした人々が礎となって、現在では、ブラジルの日系人は120万人以上を数えるまでになっている。これら日系の人々は、70%以上がサンパウロ州に居住していると言う。もちろん海外で最大の日系入社会である。
国際農林水産業研究センターとブラジルとの共同研究が始まったのは、前身である熱帯農業研究センターが発足してまもない昭和47年(19 7 2年)からである。以後、共同研究は中断することなく現在も継続している。研究テーマはもっぱら畑作に関係する分野であったが、作物栽培、病害・虫害、土壌特性、作付体系など広範に及んでいる。ただし、相手機関はサンパウロ州か、隣のパラナ州の州立の大学あるいは研究所に限られていた。このほか短期派遣や海外調査もこれまでかなりの人数にのぼっている。ブラジルにおいて、そのなかでもとりわけサンパウロ近郊の地域において長年にわたって研究協力が継続してきたのは、この地域の日系入社会の存在が関係していたのであろう。しかし、一方でブラジルの他の地域、研究機関あるいは専門分野の情報が乏しかったのも事実である。
筆者は、今回、畜産関係の調査を目的にブラジル各地をまわった。訪問したのは国立農牧研究公社(EMBRAPA)傘下の、いわゆる「地域」農牧研究センターに当たる機関が中心である。ブラジルは広大な国である。同国には、南部の温帯・亜熱帯温暖地帯、中西部の熱帯サバンナ地帯、東北部の熱帯半乾燥地帯、北部の熱帯湿潤地帯など、さまざまな農業生態区分がある。各地域の農牧研究センターでは、それぞれの気候、土壌などの自然条件のもとで、地域の農牧業にかかわる問題を総合的に取り上げ、関連する分野の人々の参加を得て、効率よく研究を推進したいとしていた。とくに畜産の研究はいずれの地域においても重点的に取り組まれていた。BMBRAPAは、ブラジルにおける全国の農牧業の研究をリードしており、研究の分野やレベルの点でも共同研究の条件が整っていると考えられた。
以下、ブラジルにおける畜産、および今回訪問した研究センターの研究活動の概略について報告し、今後の研究協力の一資料としたい。In Brazil, there is the biggest population of Japanese people overseas. And the technical cooperation of Japan in this country was initiated to aim for supporting these people in the early days of the immigration. The research collaboration of JIRCAS, formerly named as Tropical Agriculture Research Center (TARC), in Brazil has been carried out with the theme on the cultivation of crops during the last two decades and will continue further in the future.
This paper is a report of the visit to Brazil in 1993 (Nov. 21 - Dec. 20) to investigate the research activities related to livestock production carrying out at the EMBRAPA research centers located in the respective agro-ecological regions of Brazil : the temperate area in the South, tropical savanna area in the Middle-West, tropical semi-arid area in the Northeast and tropical humid area in the North. In the EMBRAPA research centers, they were in progress to look over the needs for research with comprehensive approaches. There are quite different conditions, constraints and possibilities, in cattle farming among the regions. The research on the breeding of pastures suitable to the respective conditions and the development of feed resources for the dry season or winter period is given a high priority due to the importance of cattle farming in each region. There are some aspects to be considered for undertaking the collaboration with this country: the harmony of the development with the environment, the increase of the productivity in agriculture, and the technical support to small scale farmings. There are research needs not only for production technologies but also for postharvest technologies.

刊行年月
作成者 宮重俊一
著者キーワード ブラジル 家畜生産 畜産研究 EMBRAPA Brazil Livestock EMBRAPA
公開者 農林水産省国際農林水産業研究センター
データ作成日
7
開始ページ 1
終了ページ 47
言語 jpn
国名 ブラジル