研究成果情報 - モンゴル

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • モンゴル草原で放牧されるヒツジの冬季採食量はUNDP値より20%以上高い(2015)

    モンゴルの森林ステップおよびステップ地域の草原で放牧されるヒツジにおいて、リグニン法で求められる採食量は、同国で一般に用いられているUNDPによる値と比べて冬季に20%以上高い。よってこの時季には、草原で放牧可能な家畜頭数が少なく推定される。

  • モンゴル国の草原における牧民による自立的な井戸改修・維持管理手法の開発(2009)

    モンゴル国の草原において、井戸を拠点とした牧民のグループ化を行い、井戸修理チームによる井戸修理・維持管理体制を確立した。あわせて、資金調達の手段として羊を拠出することによるファンドを設立し、これを運営することで、牧民による自立的な井戸改修・維持管理ができる仕組みを開発した。

  • 未利用資源を活用した燃料ブロックの改良と普及方法の開発(2008)

    モンゴル国において、在来技術である家畜ふんと石炭粉を混ぜて固めた燃料ブロック技術を改良するとともに、その普及を図るため行政が仲介する普及システムを考案し実証した。その結果、地域資源の有効活用が評価され、ウブルハンガイ県の「2009年度の経済と社会開発の基本方針」において本システムが導入され、小学校や幼稚園などの公的施設で実施される。

  • モンゴルの首都近郊における酪農の経営向上に関する要因(2006)

    首都ウランバートル近郊の集約的酪農世帯は、現状では純利益をあげている。搾乳牛一頭当りの乳量増加要因としては、濃厚飼料給与の増加と経営規模が大きいことが、また純利益率増加要因としては年間平均牛乳出荷価格の高いことと経営規模が大きいことが寄与している。

  • 衛星データの解析によるモンゴル国全域での植生変動傾向(2006)

    衛星データから得られる植生情報を用いて,モンゴル国全域における1981-2003年の長期植生変動傾向(植生トレンド)と市場経済の導入前後における植生トレンドを求めて,時空間分布を明らかにした。国全域におよぶ植生劣化や際立った砂漠化傾向は見られなかった。しかし,1990年代初頭の市場経済化以降には都市周辺などに劣化傾向の集中が見られており,今後の対策が必要である。

  • 過放牧が引き起こす砂漠化の微気象学的メカニズム(1995)

    中国内モンゴル東部の半乾燥気候の草原で、ヒツジの放牧頭数を変えた放牧試験を行い、放牧強度の差異による草原の砂漠化過程を微気象の変化から調べた。過放牧により、草原植生量が減少するだけでなくヒツジの歩行数が増え、土壌が硬化した。硬い土壌は降雨の地下浸透を妨げ表面蒸発量を増大させ、植生の再生伸長を妨げた。