アンタナナリボ大学のRinasoa氏と西垣研究員、辻本研究代表らの論文が、国際誌Journal of Plant Nutrition and Soil Scienceにオンライン掲載されました

国際誌Journal of Plant Nutrition and Soil Scienceにオンライン掲載されました

課題3「施肥と育種素材を統合した養分利用に優れた局所管理技術の開発」に参画するアンタナナリボ大学Rinasoa氏(2021年12月博士課程修了)と西垣研究員、辻本研究代表らの論文が、国際誌Journal of Plant Nutrition and Soil Scienceにオンライン掲載されました。

Organic materials with high P and low C:P ratio improve P availability for lowland rice in highly weathered soils: Pot and incubation experiments
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jpln.202100266

サブサハラアフリカの水稲栽培において、土壌のリン欠乏はイネの生育を阻害する大きな原因の一つです。それを克服するためには、在来の有機質肥料である家畜糞堆肥の利用が推奨されていますが、農家による自家製の家畜糞堆肥は、農家ごとにレシピが異なり、その成分も大きく異なります。本論文では、どのような性質を持つ家畜糞堆肥を施用するとイネの生育に効果的なのかを調べるために、室内の培養実験とガラス温室内でのポットによるイネ栽培試験を行いました。その結果、家畜糞堆肥の中でも、特にリン含量が高く、C:P比が低い家畜糞堆肥を施用することで、イネのバイオマス量とリン吸収量を最も高めることができ、無施用の時に比べてそれぞれ、2倍、3倍になることが分かりました。また、家畜糞堆肥の施用効果は、土壌のリン飽和度(酸性シュウ酸塩抽出P:Fe比)が低いほど顕著になることが明らかとなりました。本研究で得られた成果は、リン欠乏土壌におけるイネの生産性向上に向けて、農家による自家製の家畜糞堆肥の効率的な利用に有用な知見を提供するとともに、今後、有効な肥料としての家畜糞堆肥を作成する際の指針としても役立つことが期待されます。
 

培養実験の準備を行うRinasoa氏

関連するページ