肥沃度センシング技術と養分欠乏耐性系統の開発を統合したアフリカ稲作における養分利用効率の飛躍的向上

プロジェクトの概要

目的

アフリカのイネ収量は著しく低い水準にあります。本研究では、アフリカの風化土壌にみられる様々な養分欠乏の評価法開発、養分欠乏に応じた局所施肥、および、遺伝子導入による養分利用に優れた革新的な品種開発を組み合わせることで、肥料投入が限られた地域のイネの生産性を大幅に改善することを目指します。さらに、一連の活動を通した人材育成と現地分析拠点の確立により、低投入・低肥沃度環境のみならず、国際的に懸念される肥料資源枯渇に対応した資源利用効率の高い作物生産技術の開発において、先駆的役割を果たす国際共同研究体制を構築します。

内容

課題1. 圃場養分特性の簡易評価法の開発と分布域の把握

土壌の外観特性と衛星画像の分光反射特性との関係を解析することにより、土壌の窒素供給力と密接に関係する土壌炭素量(SOC)の推定モデルを開発し、プロジェクト対象地域2 県の土壌炭素量分布図を作成します。次に、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)の欠乏評価に適した土壌分析法を抽出し、多点の分析結果と圃場の地形的属性や分光反射特性と結び付けることで、これらの養分欠乏リスクが高い圃場条件および分布域を提示します。さらに、イネの生育診断や携帯型分析機器を用いて、農家が圃場毎に品種や施肥法を選択する局所管理の指標となる現場対応型の養分欠乏評価法を開発します。

課題2. 養分の吸収利用に優れた育種素材の開発

P 吸収に寄与する既知のPup1 遺伝子座(PSTOL1 遺伝子を含む)に加えて、P、S、およびSi の吸収利用効率に寄与する新たなQTL とその分子マーカーを検出します。これらの分子マーカーを用いたQTL 集積系統の作出と圃場評価により、低投入・低肥沃度条件に適応した有望品種を2 つ以上登録します。また、QTL 領域のファインマッピングにより絞り込まれた候補遺伝子の遺伝子発現解析と形質転換体を用いた遺伝子機能解析および生理生態学的解析により、養分欠乏耐性に寄与する遺伝子とその機能を3 つ以上明らかにします。

課題3. 施肥と育種素材を統合した養分利用に優れた局所管理技術の開発

同国の西部沿岸に偏在するリン鉱石・グアノ、日本が出資する同国のニッケル鉱山から副産される硫安、および稲わら・籾殻など稲作農家の自給的肥料を、それぞれP、S、およびSi を供給する地域資源として利用し、かつ、課題2 の養分利用効率に優れた系統を導入することで、圃場の養分特性に応じて、イネの収量および施肥効率を慣行に比べて50%以上改善できる技術を開発します。

課題4. 稲作技術の普及要因の解明とインパクト評価

対象地域の現状把握と農家圃場での実証試験を通して、技術選択に関わる要因、および開発技術が農家の所得と栄養改善に及ぼす影響を定量的に明らかにし、技術普及に向けた提言を取りまとめます。

 

 

実施体制

本プロジェクトは、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)とマダガスカル農業畜産省(MPAE)が代表機関となり、共同研究機関として、日本側に京都大学、東京大学、および山梨英和大学、マダガスカル側に国立農村開発応用研究センター(FOFIFA)、アンタナナリボ大学放射線研究所(LRI)、および国立栄養局(ONN)が参画する国際共同研究です。各機関の研究者がそれぞれの専門性を活かして課題1~4の研究を共同で推進し、低投入・低肥沃度環境に適応した普及に資する養分利用効率の高い稲作技術の開発を実現します。

実施体制