アンタナナリボ大学博士課程学生のAndrianary氏と辻本研究代表らの論文が、国際誌Field Crops Researchにオンライン掲載されました

国際誌Field Crops Researchにオンライン掲載されました

課題3「施肥と育種素材を統合した養分利用に優れた局所管理技術の開発」に参画するアンタナナリボ大学博士課程学生のAndrianary氏と辻本研究代表らの論文が、国際誌Field Crops Researchにオンライン掲載されました。

"Phosphorus application affects lowland rice yields by changing phenological development and cold stress degrees in the central highlands of Madagascar"

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378429021002021#bib0225


本論文では、土壌のリン欠乏と雨季終りの気温低下が顕著なマダガスカルの農家水田で2年間の栽培実験を繰り返し、リン施肥による増収効果は、イネの発育への影響を介して、生育期間中の気温に大きく左右されることを野外環境で初めて明らかにしました。まず、リン施肥の有無によってイネの出穂日に6~24日間もの違いが生じ、リン欠乏下では、イネの生育日数が大きく伸びることを示しました。移植が十分に早い場合には、生育日数の増加が乾物生産に有利に働きました。その一方で、移植が遅く生育後半に気温低下が生じた条件では、リン欠乏による生育日数の増加が低温による登熟不良を助長し、収量に負の影響をもたらしました。結果、同じ圃場でも、生育後半の低温リスクが高い場合に、リン施肥の効果がより大きいことが明らかになりました。リン欠乏が、イネをはじめ植物の発育を遅延させることはよく広く知られていますが、その影響が、生育期間中の気象環境を介して、生産性に及ぼす効果についてはこれまで示されていませんでした。本研究で得られたリン欠乏と気象環境との相互作用に関する成果は、環境負荷や資源の枯渇が懸念されるリン肥料をより有効に活用し、リンの施肥効率およびイネ収量改善に繋がる可能性が期待できます。

イネの生育を計測するAndrianary氏

圃場試験の様子

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