ブルキナファソの学生からの研究報告

ブルキナファソの学生からの研究報告

 

 SATREPSプロジェクトへの貢献

アダマ・サニョン(ジョセフ・キゼルボ大学 修士課程) アダマ・サニョン(ジョセフ・キゼルボ大学 修士課程)

はじめに

ジョセフ・キゼルボ大学のアダマ・サニョンと申します。細胞・微生物工学を専攻し、SATREPSブルキナプロジェクトで得られたデータを使った研究で、2020年12月に生化学・微生物学の修士号を取得しました。SATREPSプロジェクトを知ったのは、2019年6月にワガドゥグのジョセフ・キゼルボ大学で開催されたサール・パパ・サリオウ博士(国際農研)の研究セミナーのときです。そのセミナーの最後に、サール博士はブルキナファソでのフィールド調査とラボワークをしっかりと進めるため、SATREPSプロジェクトの課題3-3に参加する修士課程の学生を探していると言われました。また、プロジェクトを通じてブルキナファソの学生の能力開発に貢献したいとのことでした。その後、ジョセフ・キゼルボ大学のボンクング・J.O・イジドール博士に紹介されました。議論の後に、2019年の7月中旬から「ブルキナ国産リン鉱石を添加した堆肥が土壌の物理化学的、生物学的性状及びソルガムの生産性に与える影響」をテーマとした研究に取り組みました。ティビリ・エゼケル博士と チェンドゥレベオゴ・フィデル博士からも指導を受け、カンボワンセの環境農業研究センター (CREAF/K)で研究を行いました。

研究概要

ソルガムはブルキナファソの主要な穀類です。ソルガムは多くの人々に消費されており、家畜の餌として、また多くの家庭用品にも使われています。しかし、他の穀類と同様にソルガムの生産量は低い土壌肥沃度、とりわけ利用できるリンの不足によって制限されています。本研究では主にSATREPSプロジェクトで先立って作られた2種類のリン鉱石添加堆肥がソルガムの生産性に及ぼす影響を検証しました。このうち1種類の堆肥には、ブルキナ国産リン鉱石(BPR)に加えて、堆肥化の過程で微生物の供給源となる根圏土壌を与えました。その他にも、有機的およびミネラル処理(NP、ソルガムの藁、BPR、NPK)を行いました。本研究では、根圏土壌を与えたリン鉱石添加堆肥によってNPKと同程度のソルガムの収量が得られことから、その潜在的な有用性が確認されました。また、土壌を添加したリン鉱石添加堆肥ではリン溶解微生物の遺伝子が多いことも注目されました。リン溶解菌が土壌中に多いことが、リンの良好な可溶化と吸収に寄与した考えられ、土壌を添加したリン鉱石添加堆肥の施用がソルガムの高い収量の根拠が示されました。

プロジェクトで得たもの

この研究によって、私は科学研究の世界への一歩を踏み出し、また日本の国際農研とブルキナファソ国立環境農業研究所(INERA)の優れた研究者と交流することができました。また研究を通して、ラボワークの技術、農場での試験の手順、土壌肥沃度という概念、そして農業における土壌微生物の重要性を学びました。さらに、分子生物学的な分析手法や土壌養分の同定、そして統計とバイオインフォマティクスの解析ソフト(R、XLSAT、MEGAX)およびLINUXについても学びました。このような機会を与えていただいたSATREPSに感謝申し上げます。

研究中の困難

サリアへの現地調査の際には、移動の問題が度々起きました。その結果、いくつかの調査は延期されました。統計分析やバイオインフォマティクス解析の十分な経験がなかったので、データ分析の際に適した手法とツールの選択が難しかったです。また、データを十分に保存できるコンピューターを使い、プロジェクトで得られた全データをより効率的に扱うことができたらよかったと思います。

今後の展望

サブサハラ・アフリカにおける持続可能な農業のため、リン鉱石添加堆肥の生成に関する研究を継続したいと考えます。また、植物が利用可能なリンに関わるメカニズムの理解を深めたいと考えています。よって、次のような研究を提案します。

  • 高品質で地元農家が利用しやすい多様な堆肥を得るための、リン鉱石と有機残渣を使った他種の改良された堆肥の研究
  • リン鉱石添加堆肥の残留効果が土壌の物理化学的、生物学的な性状、およびササゲ等マメ科作物の生産量に及ぼす影響の研究
  • 土壌微生物と植物の生長の間の相互作用のさらなる理解。本提案では接種材料を生産するため、リン溶解化の可能性が高い微生物を分離・同定する計画としています。また、これらの微生物がリンを溶解・鉱化するメカニズムのさらなる解明を進める予定です。