プロジェクトの概要

2023.02.24

TRuBUSANプロジェクトとは

TRuBUSANとは、インドネシア語で「ひこばえ」の意味で、Strengthening Tropical Forest Resilience Based on Management and Utilization of Genetic Resources Capable of Climate Change Adaptationの略です。日本語のプロジェクト名は「気候変動適応へ向けた森林遺伝資源の利用と管理による熱帯林強靭性の創出」です。本プロジェクトでは、想定される気候変動に適応した林業用種苗の開発や環境適応した植栽方法の導入や生態系サービスをはじめとした付加価値の創出により、気候変動下での持続的な熱帯林業の普及を目指します。

気候変動に適応し、生産性を兼ね備えた熱帯林業用種苗の開発と普及

世界に残存する熱帯林のおよそ10%がインドネシアに存在し、インドネシアの国土面積の約52%が森林に覆われています。熱帯林は気候変動に対する脆弱性が指摘されており、安定的な木材生産や持続可能な森林管理を目指し、従来、時間がかかるとされてきた林木の育種にゲノム情報を活用したゲノム選抜育種と呼ばれる手法を導入し、気候変動に適応可能な種苗の選抜を短期間に行うことを目指します。また、選抜した種苗をクローン技術を活用して大量に増殖して、その普及を促進します。

 

気候変動を考慮した植林手法と種苗配布ルールの立案

気候変動が顕在化した場合、現在とは環境が大きく異なる可能性が生じます。その場合、林業樹種の生育が悪くなったり、さらには生存そのものが危うくなる可能性があります。一方で、現在の環境では、生育に不適な土地であるにもかかわらず、気候変動下では生育に適した土地となる場所も生じます。このような生育適地の変化を予測し、植林の気候変動適応を進めていきます。また、広い分布を持つ林業樹種は産地間で環境への適応能力が異なる可能性があります。この適応能力の違いを活用した気候変動への適応策として、種苗の配布ルールを立案します。

 

気候変動適応型植林の社会実装へ向けたインセンティブ形成

劣化した森林の回復と新規植林地の拡大の達成に向け、上記の研究で開発される種苗や植林技術を用いた熱帯林再生・新規造林事業が、環境・社会・経済に与えるインパクトを評価します。REDD+に加え、森林認証制度やESG 投資における気候変動適応型林木種利用に係る認証基準化を図ることで、熱帯雨林の再生・創出に対する国際的・地域的インセンティブの形成を目指します。

 

国際共同研究体制の強化

本研究を通して、インドネシアと日本の研究者の相互交流および人材育成を推進し、林業研究開発のための質の高い国際共同研究体制を構築します。

実施体制