6月1日付Proceedings of the National Academy of Sciences of United States of America (PNAS)の"Opinion"に国際農研と米国プリンストン大学公共国際問題大学院の共著論文、“A "more ammonium solution" to mitigate nitrogen pollution, boosts crop yields”が掲載されました。
本論文では土壌の硝化の制御による「アンモニウムの活用」が、窒素汚染と食料増産を図る生産システムを確立するための重要な解決策と提案しています。土壌微生物の働きである硝化を完全に止めることは事実上不可能ですが、BNI研究の進展や、BNIとSNIの組合せによる現場での活用により、作物の窒素利用効率を高め食料を増産しつつ、農地からの窒素汚染を低減する地球に優しい食料生産システムを確立することが可能になりつつあります。
本論文は、2018年に国際農研が主催し、つくば市で開催された第3回BNI国際会議の成果をもとに構成されています。
BNIはSNIの限界を克服し、アンモニウムを効率よく活用する作物品種の併用により、食料生産システムの窒素利用効率を向上させる可能性を持っています。「アンモニウムの活用」が世界の食料生産システムの中で有効利用されることで、窒素汚染の低減と食料増産に応える新たな解決策になることが期待されます。
これらBNI技術を活用した食料生産システムの開発は、政府の2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(⑨食料・農林水産業の成長戦略「工程表」:令和2年12月25日・成長戦略会議)や、みどりの食料システム戦略にも記載されており、国際農研は地球に優しく高効率なBNIを活用した食料生産システムの開発を今後も推進していきます。