インゲンマメ種「ナリブシ」
背景・ねらい
インゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)の結莢率は高温によって著しく低下するため、高温期にインゲンマメの若莢を生産することは難しい。国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点は耐暑性インゲンマメの開発を目指し、平成10年に「ハイブシ」(いんげんまめ農林1号)を初めて育成し、その優れた耐暑性と食味は高い評価を受けているが、莢の形状の異なる丸莢の耐暑性品種が望まれていた。
特徴
- 高温下(28.1°C:石垣市の6月の平均気温)において160~180kg/a(28,000~34,000本/a)の若莢を収穫することができる。
- 「ハイブシ」より莢が長く、莢の中央部の横断面が円形である。
- 無限つる性、収穫開始までの日数が50~55日の中生種で、完熟種子は黒色である。
- 若莢のBrixは4.9であり、食味(甘味)はハイブシと同等である。
- 「ケンタッキーワンダー」、「ナリブシ」及び「ハイブシ」の結莢率は、平均気温24°Cでそれぞれ85.3%、83.3%、82.6%であり、平均気温28°Cでは23.3%、68.3%、70.1%である。このように、「ナリブシ」は「ハイブシ」と同等に高温下での結莢率の低下が少なく、耐暑性は極強である。
登録・出願情報
■出願先国:日本
- 農林水産植物の種類
- Phaseolus vulgaris L. (インゲンマメ種)
- 品種名称
- ナリブシ
- 旧系統名
- 石垣2号
- 出願番号
(出願日) - 第20553号
(2007/1/9) - 公表日
- 2007/4/18
- 登録番号
(登録日) - 第16451号
(2008/3/13) - 育成者権の
存続期間の終期 - 25年
(2033/3/13) - 育成者権の共有者
- -
(単独) - 輸出先国の制限
- 有り
(指定国なし、すべて)
関連文献
- 耐暑性が高い丸莢のインゲンマメ新品種「ナリブシ」
国際農林水産業研究成果情報(平成18年度) / 独立行政法人国際農林水産業研究センター編, 2007-07 - サラダやてんぷらなどの食材として最適:甘味に優れたインゲン
自家増殖の取り扱い(農業者の方へ)
種苗法の改正(令和2年12月)に伴い、令和4年4月1日から登録品種の自家増殖※は育成者権者の許諾が必要となりました。
(※ 自家増殖: 農業者が収穫物の一部を自己の経営内において次期作用の種苗として用いる行為をいいます。)
本品種については、基本的に当センターの許諾を得て本品種の種苗を生産・販売している種苗業者等※※を通じて正当に苗を入手することにより、種苗更新されることを奨励いたしますが、下記1~6の事項を遵守し、また下記7の事項に同意することを条件として、無償で許諾いたします(手続きは不要です)。
(※※ 国際農研が単独で育成者権を有する登録品種の種苗入手先はこちら。
なお、当センターは自家増殖用の材料提供には対応しておりません。)
記
- 自己の農業経営で行う農作物の生産のみを目的として増殖すること。
- 当該登録品種の種苗を用いて得た収穫物や植物体の一部を、有償・無償に関わらず、種苗として第三者に譲渡しないこと。
- 当該登録品種の種苗(植物体の一部である栄養器官を含む。以下「種苗等」という。)を海外に持ち出さないこと。
- 収穫物や植物体の一部を種苗として用いる際は、当該登録品種の特性を著しく損なうことのないよう、適切な種苗等を選別し利用すること。また、利用した種苗等によって本登録品種の特性が損なわれる等の問題が発生した場合には、遅滞なく当センターに報告すること。
- 本許諾に基づき準備した種苗等のうち自己の農業経営において用いなかった種苗等は、遅滞なく廃棄又は食用とすること。なお、剪定枝は焼却等を行い確実に廃棄処分すること。
- その他、本許諾に関係する事項について当センターから指示がある場合には従うこと。
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