女性研究者からのメッセージ : 生物資源・利用領域 鵜家綾香

国際農林水産業研究を志した動機は何ですか?

 開発途上地域の農業や環境問題に興味があり、大学・大学院でも開発途上地域の農業に関する研究を行ってきました。卒業後も国際関係の仕事に、研究者として関わりたいと考えていて、中でも国際農研は、大学生の頃から先輩や先生方が一緒に研究をしていたことから、途上国の農林水産業問題に取り組むには最適な研究所だと思って志望しました。入所後は、分野が異なるものの、途上国の農業や環境問題にいろいろな方法で取り組む姿や成果に触れる機会が多く、開発途上地域への貢献はいろいろな方法があるなと勉強している最中です。

 

現在取り組んでいる研究内容をご紹介ください。

 気候変動リスクの要因となる途上国の熱帯農業から発生する大量の農産廃棄物を、微生物を活用することで循環利用を促す技術開発を行っています。つまり、セルロース系バイオマスをバクテリアの力を使って糖化液に変換することによって、エネルギー利用等に有効利用する技術を開発しています。この技術開発によって、環境問題を引き起こす原因となる農作物残渣を減らし、環境にやさしい世界を目指しています。現在はマレーシアやタイのカウンターパートと一緒に微生物を使った糖化の技術を開発しています。

 

女子学生の皆さんに伝えたいメッセージは何ですか?

 研究職へ進むことを躊躇する人は多いかもしれませんが、興味があったら諦めずに挑戦してもらえたらと思います。現状では女性研究者が爆発的に増えたということはなく、大学や大学院修了後の将来像が見えづらいのも事実です。しかし、最近では大学内に職員が利用できる保育園ができたり、研究所でも育休取得促進などの働く環境を整えようという動きが出ていると思います。また、国外に目を向けてみると、女性研究者の進路やライフスタイルも様々で、身近にある理系出身だったらこうすべき、といった概念を取り払ってくれます。色々な情報を集め、そこから自分の漠然と描く将来を具体化させ、輝かしい未来を開いて頂ければと思います。