理事長挨拶

 

地球と食料の未来のために

理事長 小山修

小山理事長

国際農林水産業研究センター(以下、「国際農研」)は、50年以上にわたり、熱帯・亜熱帯地域、開発途上地域の農林水産業技術の向上のため、現地の研究機関、大学などと国際共同研究を行って、世界の農林水産業の発展に貢献している国立研究開発法人です。 

世界の農林水産業を巡る状況は、時代とともに大きく変遷してきましたが、国際農研は、研究開発による食料・環境問題の解決策の提示、科学技術による国際貢献を一貫して継続しています。緑の革命などの大増産の時代、先進国間の輸出競争の時代、地球環境問題への認識が深まった時代、経済危機によって食料価格が乱高下した時代など、農林水産業技術開発への期待も変化してきました。特に、国際農研が対象としている国・地域では、経済のグローバル化、都市化、経済の急成長などによって、新しい技術へのニーズが大きく変化しています。一方で、世界からの我が国への期待も変化しています。

気候変動などの地球規模の課題が顕在化する中、国際社会共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた多くの活動が展開されています。令和3(2021)年9月には、国連食料システムサミットが開催され、食料の生産、加工、輸送および及び消費に関わる一連の活動を持続可能なシステムへ転換していくことが確認されました。我が国も令和2(2020)年10月、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、翌年5月には、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための中長期的な視点での政策方針「みどりの食料システム戦略」を策定し、取組を進めています。

このような国際農林水産業研究を巡る情勢の変化を踏まえて、令和3(2021)年3月に農林水産省が示した国際農研の第5期中長期目標(令和3~7年度)には、「我が国を代表する国際農林水産業分野における研究機関として、食料・農業・農村基本計画等の政策の実現に向け、我が国を含む世界の農林水産業技術の向上を図り、持続可能な農林水産業の発展に寄与する」という高邁な使命が明示されました。そして、地球規模の食料・環境問題の解決を目指すため、以下の2つの重点業務が掲げられています。

(1)研究開発の効果的・集中的な実施

  • 地球規模課題の解決に向け、気候変動の影響を軽減しつつ環境に調和した強靱で持続的なシステムの構築を目指す取組や深刻な食料・栄養問題の解決のための生産性・頑強性向上に資する技術開発を強化するとともに、国際情勢の変化に応じ、アジア及びアフリカ地域を中心に対象地域の重点化を図る。

(2)センター機能の強化

  • 複雑化・多様化する開発途上地域・熱帯亜熱帯地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、地球環境や食料問題に関するオピニオンリーダーとして、国内外に広く情報を発信し、センター機能を強化する。

 

国際農研は、「地球と食料の未来のために」を合い言葉に、この中長期目標を達成するため、中長期計画、年度計画、プログラム・プロジェクト工程表などを定めて計画的に業務を進めています。国の予算を使う公的機関としての使命を常に自覚し、役職員一丸となって、人類共通の新たな価値を創造していきます。関係者の皆様の変わらないご支援とご協力をお願い申し上げます。

第5期の組織・業務推進体制

理事長略歴

日本語
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英語
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