小規模ため池を利用した補給かんがい稲作マニュアル
サブサハラアフリカにおいて、コメの生産量は消費量より少なく、アジア、北米等からの輸入量が年々拡大しています。また、農林水産省の「2021 年における世界の食料需給見通し」によると、世界の食料需給は今後も穀物等の需要が供給をやや上回る状態が継続し、食料価格はゆるやかな上昇傾向を維持することから、緊急的な対策とともに中長期的な生産拡大を図ることが急務となっています。
このような状況の下で、第4回東京アフリカ開発会議 (TICADIV) においてJICA等は、「アフリカ稲作振興のための共同体(Coalition for African Rice Development、CARD)」を設立し、アフリカにおけるコメ生産を10 年間で倍増することを目標として掲げました。しかし、アフリカにおいて稲作開発の潜在力が高い内陸低湿地でも、天水依存の稲作が行われ、コメの収量は平均2t/ha 程度に留まっています。そのため、コメの栽培面積も拡大していません。加えて、土地所有権の問題やコメ流通等の社会的・経済的側面から、農家は稲作への投資を積極的に行えないような環境にあります。
さらに、サブサハラアフリカでは、今後長期的には降水量が減少し降雨パターンが不安定化すると予測されています(CGIAR)。このような状況に対処するには、工期が短く、管理も複雑でない、環境変化に柔軟に対応可能な小規模灌漑施設(ため池など)の整備が必要です。しかし現状では、ため池は施工技術の未熟さ、高コスト等の理由で整備が不十分だと考えられます。また、整備後の水管理組織が機能せず、施設が有効に利用されていないケースもあります。このため、低コストで建設可能な技術や農民が維持管理、水管理を行う手法の開発は農業生産性向上の起爆剤となり得ると考えます。
このような状況のもと、我が国の農林水産省はJIRCAS に対して小規模ため池を利用したコメの増産(安定)に関する研究を指示した。JIRCAS は、当該研究プロジェクトをガーナ国で実施することを決定し、2014~17 年まで、MoFA とKNUST と共同研究プロジェクトを実施した。
本マニュアルは、この研究プロジェクトの成果である。本マニュアルが、サバンナ地域の稲作振興に貢献できれば幸いである。
Date of issued | |
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Creator | Ministry of Food and Agriculture Kwame Nkrumah University of Science and Technology Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Subject | サブサハラアフリカ 稲作 小規模ため池 灌漑 |
Publisher | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
Available Online | |
NII resource type vocabulary | Technical Report |
NII Geographic vocabulary | 海外 アフリカ |
Relation | hasVersion : Supplementary Irrigation Manual for Rice Production Using Small Reservoirs (in English) |
Language | jpn |