世界の林産物需給・貿易に関する政策分析のための計量モデル

要約

新たに開発された世界林産物需給モデルは、林産物を対象とした世界に類例を見ない連立方程式体系の政策分析モデルであり、貿易自由化が森林資源へ及ぼす影響などの分析を迅速かつ容易に行うことができる。

背景・ねらい

林産物貿易と森林保全の問題は、WTO貿易交渉の場等で大きな関心事項となっており、わが国においてもグローバルな視点から定量的な分析を行うことが求められている。このため、わが国の木材輸入に関係の深い環太平洋地域を中心とした林産物需給・貿易均衡モデルの開発を行い、貿易自由化が森林資源利用の持続可能性等にいかなる影響を及ぼすかについて分析する。

成果の内容・特徴

  1. モデルは、産業用丸太、製材、合板、ボード、パルプ、紙の6品目と森林資源の計7つの部門から構成され、さらに、パルプと紙、産業用丸太とパルプ、製材、合板、ボード等との部門間の複雑な材料製品関係を定式化している。
  2. モデルは、経済活動と資源変動との関係を分析するため、森林資源の多寡が産業用丸太供給の潜在生産力として機能し、産業用丸太供給の多寡が次年次の資源変動に反映されるという動学的な関係を定式化している。
  3. 地域は、林産物貿易における重要度、わが国との貿易関係、モデル内でのバランス、結果の再集計の利便性等に配慮し、世界全体を24の単独国、10地域(中国を含む)と貿易調整のための「その他世界」の計35地域に分割している。
  4. モデルは、従来の数理計画法によるものと異なる連立方程式体系であり、行動方程式には、弾力性一定の指数関数式を採用している。このため、理解や変更が容易であり、解法速度も格段に改善されている。
  5. モデルの感応度テストの試算例として、2005年においてすべての関税率を撤廃した場合の影響を2004年の水準に据え置いた場合と比較した結果は、世界合計で見た場合には大きな変化がないが、地域別には、図2に示すとおり10%内外の影響を受ける地域があり、影響の程度は関税率の大小等に影響され、一律ではない。

成果の活用面・留意点

  1. 各方程式に採用されている各種弾力性、技術係数は、既存モデルのものを地域毎、品目毎に加重平均したものであり、今後、再推定し、精度を向上させることが望ましい。
  2. 各地域の政策変数、価格に関するデータは、それぞれ既存モデルに用いられた関税率、貿易価額から算出した取引単価を採用しており、追加情報に応じ修正を行うことが望ましい。

具体的データ

  1.  

    図1
  2.  

    図2
分類

行政

予算区分
技会プロ 行政対応特研〔林産物貿易〕
研究課題

木材需給・貿易均衡モデルの開発

研究期間

2002年度(2000~2002年度)

研究担当者

小山 ( 国際情報部 )

古家 ( 国際情報部 )

裕泰 ( 森林総合研究所 )

田村 和也 ( 森林総合研究所 )

ほか
発表論文等

小山修,古家淳(2002): 林産物需給・貿易均衡モデルの開発. JIRCAS Working Report No.27.

林産物需給・貿易均衡モデルの開発

日本語PDF

2002_03_A3_ja.pdf821.49 KB

English PDF

2002_03_A4_en.pdf60.93 KB

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