ギニアグラス種「ギニアグラス中間母本農1号」
「ギニアグラス中間母本農1号」は、国際農林水産業研究センター(元 熱帯農業研究センター)導入の二倍体有性生殖系統種子にコルヒチン処理を行って四倍体有性生殖個体群を作出し、個体間放任受粉で得られた後代四倍体有性生殖個体間の放任受粉で得られた母系の中から選抜した、我が国最初の人為的に作出した四倍体有性生殖系統である。
背景・ねらい
ギニアグラスは熱帯から温帯圏まで広く栽培されている熱帯牧草であるが、生殖様式がアポミクシスと呼ばれる単為生殖であるため交雑育種が不可能であった。その後、探索導入系統の中から二倍体有性生殖系統および四倍体有性生殖系統が発見されたが、ほとんどの四倍体系統はアポミクシスであった。そこで、初期生育にすぐれる二倍体有性生殖系統を倍加して四倍体有性生殖系統を育成することによって、ギニアグラスの交雑育種を可能にし、アポミクシスを利用した新育種法を確立することを目的とした。
特徴
- 染色体数は2n=32の四倍体で、有性生殖である。
- 低温伸長性はGR297よりやや劣るが、他の系統と比較すると初期生育は早い。
- 系統内に雄性不稔率の高い個体も含むが、系統全体では種子稔性は低くない。
- 母本それ自体の収量は高くないが、花粉親の選定により、きわめて多様な遺伝的変異を持ったF1を作出する。F1の一般的特徴は、初期生育が早く、葉幅が広く、特に播種1年目の収量が高いことで、温帯での夏作や熱帯亜熱帯での単年栽培向きの系統育成における母本として有効である。
- 農1号は主に他殖で、系統内個体間の相互交雑によって有性生殖の維持、増殖が可能である。また、一年生であるため株保存はできない。
登録・出願情報(育成者権の存続期間満了)
■出願先国:日本
- 農林水産植物の種類
- Panicum maximum Jacq. (ギニアグラス種)
- 品種名称
- ギニアグラス中間母本農1号
- 旧系統名
- ー
- 出願番号
(出願日) - 第4448号
(1991/3/30) - 公表日
- ー
- 登録番号
(登録日) - 第3708号
(1993/10/13) - 育成者権の
存続期間の終期 - 2008/10/14
※期間満了 - 育成者権の共有者
- -
(単独)
関連文献
- 中川仁, W.W. ハンナ; ギニアグラスのアポミクシス育種法 I. コルヒチン倍加処理法による4倍体有性生殖系統の育成. 育種学雑誌(39巻別1), p.328-329, 1989
- ギニアグラスの導入とアポミクシス育種法 (熱研沖縄支所特集号)
熱帯農研集報 / 農林水産省熱帯農業研究センター 編 (66), p.58-65, 1989-09 - ギニアグラス中間母本 農1号
TARC 熱帯農業研究成果情報 平成2年度 / 農林水産省熱帯農業研究センター 調査情報部編, p.5-6, 1991-10
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