◆市栄智明教授ら国際共同チームの研究成果が、国際誌「Forest Ecology and Management」に掲載されました

2023年9月20日

熱帯二次林の形成時期を高精度に特定する技術を開発

~東南アジアの森林管理や生物多様性評価への貢献が期待~

 

 自然科学系農学部門の市栄智明教授ら国際共同チームの研究成果が、国際誌「Forest Ecology and Management」に8月29日付けで掲載されました。

 商業伐採や農地開発などの人為的活動により、この数十年で東南アジアの原生的な熱帯雨林はほとんど消失し、残存する森林は大半が二次林(攪乱を受けた後に再生した森林)に姿を変えています。熱帯林を持続的に保全・管理するためには、熱帯二次林の適切な評価が不可欠ですが、そもそも熱帯二次林がいつ形成されたのかを特定する技術が無いことが問題となっていました。

 本研究は、マレーシアの熱帯二次林において、樹木の木材に含まれる放射性炭素同位体(※1)を調べ、そこから樹齢を推定することで熱帯二次林の形成時期が高精度に特定できることを明らかにしました。この技術を活用することで、今後熱帯二次林の炭素蓄積量や生物多様性などの評価が進み、適切な森林保全・管理技術の確立につながることが期待されます。

 

 題 名:Accurate dating of tropical secondary forests using wood core Δ14C in Malaysia

     (木材コアに含まれる放射性炭素同位体を利用したマレーシア熱帯二次林の正確な形成年代特定)

 著 者:Tomoaki Ichie1, Shuichi Igarashi1, Sae Tamura1, Ai Takahashi1, Tanaka Kenzo2, Fujio Hyodo3, Ichiro Tayasu4, Paulus Meleng5, Mohamad Alias Azani6, Mohd Effendi bin Wasli7, Masayuki Matsuoka8

 所 属:1高知大学, 2国際農林水産業研究センター, 3岡山大学, 4総合地球環境学研究所, 5サラワク森林局, 6マレーシアプトラ大学, 7マレーシアサラワク大学, 8三重大学

 D  O  I:https://doi.org/10.1016/j.foreco.2023.121346

プレスリリース_熱帯二次林の形成時期を特定する技術開発.pdf(631KB)

 

※1:放射性炭素同位体(14C)

大気中には安定同位体である12Cが約99パーセント、同じく安定同位体である13Cが約1パーセント、そして放射性同位体である14Cが極微量含まれている。植物は12Cだけでなく、13Cや14Cも取り込んで光合成を行っている。

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