国立大学法人 岡山大学

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“AIの目”によるイネ収穫量の簡単・迅速推定

2023年07月21日

岡山大学
京都大学
東京農工大学
国際農林水産業研究センター
岐阜大学
東北大学


◆発表のポイント

  • AIを用いた画像解析によって、イネの収穫量を簡便に推定可能となった。
  • 市販のデジタルカメラやスマートフォンでイネを撮影するだけ。
  • 多収品種の開発や、農家圃場の生育診断が一挙に加速すると期待される。

 イネは、わが国では言うまでもなく、世界的にみても人口の約半数が主食としている非常に重要な作物です。私達は国際的な研究ネットワークを通じて国内外から大量のイネ画像と収穫量のデータを収集し、AIに学習させました。これにより、野外で生育するイネの収穫期の画像を撮影するだけで、高い精度で面積あたり収穫量(収量)を推定する技術を開発しました。本技術は幅広い品種や環境条件において適用可能なだけでなく、市販のデジタルカメラやスマートフォンのみで、誰でも簡単にイネ収量の推定を可能とした点に最大の特徴があり、いわばイネの収穫量を見極める“AIの目”を実現したと言えます。本研究成果は、国際誌Plant Phenomicsに現地時間6月29日付けでオンライン公開され、7月28日付けで出版予定です。本技術は、これまで時間と労力をかける必要のあったイネの収量調査を大幅に省力化・迅速化することで、育種現場における多収品種の選抜に貢献すると考えられます。加えて農家圃場、特に開発途上地域など、これまで調査困難であった地域のイネ生産量の把握、ひいては最適な栽培法選択や政策立案など、多方面にわたって活用されることが期待されます。

◆研究者からひとこと

 本研究は、多数の国・研究機関が連携し、数多くの研究者の力が結集した国際共同研究の成果です。関わった全ての方々に心からお礼を申し上げます。私自身はAIの専門家ではないのですが、新たな分野にチャレンジし、こうして成果を公表できたことに達成感を感じています。ぜひ多くの方がこの技術に興味を持っていただけることを願っています。
田中 佑 准教授

■論文情報
論 文 名:Deep learning enables instant and versatile estimation of rice yield using ground-based RGB images
掲 載 紙:PlantPhenomics
著  者:Yu Tanaka, Tomoya Watanabe, Keisuke Katsura, Yasuhiro Tsujimoto, Toshiyuki Takai, Takashi Sonam Tashi Tanaka, Kensuke Kawamura, Hiroki Saito, Koki Homma, Salifou Goube Mairoua, Kokou Ahouanton, Ali Ibrahim, Kalimuthu Senthilkumar, Vimal Kumar Semwal, Eduardo Jose Graterol Matute, Edgar Corredor, Raafat El-Namaky, Norvie Manigbas, Eduardo Jimmy P. Quilang, Yu Iwahashi, Kota Nakajima, Eisuke Takeuchi, Kazuki Saito
D O I:10.34133/plantphenomics.0073

■研究資金
 本研究は、科学研究費補助金(19H19H02939, 20H02968, 21K19104)、European Union and International Fund for Agricultural Development(IFAD; DCIFOOD/2015/360-968, PRUNSAR)、CGIAR Research Program(CRP)、JICA/JST SATREPS(JPMJSA1608)の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
“AIの目”によるイネ収穫量の簡単・迅速推定


<お問い合わせ>
学術研究院環境生命自然科学学域(農)
准教授 田中 佑
(電話番号)086-251-8319

年度