国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS

生産環境・畜産領域 渡辺武さん

現在取り組んでいる研究内容をご紹介下さい。

主として、国際半乾燥熱帯作物研究所(ICRISAT、インド)に長期出張し、ソルガムによる生物的硝化抑制(BNI)が、窒素動態に及ぼす影響を定量化すること、スイートソルガムの窒素施肥効率を向上させる研究に取り組んでいます。また、ベトナム・メコンデルタにおいて、雨季作の水稲収量が乾季作と比較して大幅に低いことの原因解明と対策技術の開発についても取り組んでいます。

ご自身のワーク・ライフ・バランスで苦労されたこと、良かったこと、思いなどはなんですか?

2005年に結婚し、2006年2月に長男が誕生し、2009年5月より、ICRISATへの長期出張を繰り返しています。正直なところ、長期出張に行くようになってからは、育児を始め家庭生活に関しては、過大な負担を妻へ掛けっぱなしです。風邪など病気になった子供の世話、保育園、小学校、学童保育のイベントへの参加等、育児に関することは、私も応分に役割を果たすべきですが、出張中は本来果たすべき役割を果たすことができません。仕事と育児の両立で苦労する妻の弱音を電話で聞くだけで、何もできない時は辛いです。

結婚して子供を持てたことは、何にもまして良かったと思っています。人生一生独身かもしれないと考えていたときもありました。結婚以来、家族で遊びに行ったり、家事を家族皆で一緒にしたり、子供の入学式などに参列したなど、幸福感を得ることは多いです。長期出張に行くまでと、一時帰国中の週末は、半分以上は私が食事を作っています。平日は、皿洗い、風呂洗い、洗濯もの干し等を担当しています。

ワーク・ライフ・バランスは、個人でのバランスと家族としてのバランスと両方があると思います。また、歪みが回復可能な範囲であるのならば、常に一定な割合でなくとも良い、と思います。現在の自分はワークを優先することで、家族に負担をかけていますが、長期出張が終了後は、ライフの割合を増やし、バランスの修正を行いたいと思います。

子育て中の後輩にアドバイスするとしたらどのようなことですか?

上記のとおり曲がりなりにも共働きで子育てを行ったのは3年程度ですので、アドバイスできるようなことがありません。敢えてアドバイスをするとすれば、結婚前に、妻(夫)になる人と、子供が出来た後のライフ・ワーク・バランスに付いて、よく話し合っておくことをお勧めします。私の場合、結婚前に、「自分の仕事は発展途上国の農業に関する研究をすることなので、将来、海外長期出張の話が来る可能性が高い。一緒に付いて来ることは強制しないが、私が長期海外出張に行くことは認めて欲しい。」と伝えました。妻も、苦労は多いはずですが、日本に残って仕事を継続することは、妻自身の決断です。これについては、妻も納得しています。

私の世代より若い世代の方のほうがライフ・ワーク・バランスに関してはより柔軟に対応すると思います。余計なアドバイスになるかもしれませんが、その時その時を楽しんでください。心労や疲労によりどうしてもだめだというとき以外は、家族が幸せに暮らせるよう、一言、一手間を惜しまず、出来るだけのことをして下さい。それがあなたに幸せをもたらします。