ベトナム国アンジャン省でAWD普及政策に係るワークショップを開催し同省に提言を手交

関連プログラム
資源・環境管理
国名
ベトナム

2月28日、ベトナム国のメコンデルタに位置するアンジャン省にて標記ワークショップを開催し、ベトナム国側参加者約71名、メコン川委員会事務局1名、JIRCAS研究者4名が参加しました。最後に研究推進責任者である飛田PDから政策提言書がアンジャン省農業普及センター長のカオ・ヴィン・トン氏へ手交され、盛会裡に閉会しました。

2月28日、ベトナム国のメコンデルタに位置するアンジャン省にて標記ワークショップを開催し、ベトナム国側参加者約71名(うち共同研究機関であるカントー大学から7名、IRRI現地事務所1名)、メコン川委員会事務局1名、国際農研の研究者4名が参加しました。最後に研究推進責任者である飛田PDから政策提言書がアンジャン省農業普及センター長のカオ・ヴィン・トン氏へ手交され、盛会裡に閉会しました。

AWD(Alternate Wetting and Drying)は、水稲作で日本の「中干し」のような間断灌漑を行うことにより、用水の節水と並んで水田からのメタン発生抑制が可能な栽培方法です。国際稲研究所(IRRI)により定式化され、ベトナム国を含むモンスーンアジア諸国で普及が図られてきました。国際農研では約10年前から継続してベトナム国のメコンデルタでAWDに関する調査を継続して来ており、メタン発生抑制効果のみならず増収効果、灌漑用ポンプ運転経費削減効果を確認しています。ベトナム国は農業分野からのGHG排出削減手法の一つとして水田からのメタン発生抑制を重視しており、AWD普及はその有望な手段となっています。AWDに伴う水稲の増収は、農家がAWDを採用する大きなインセンティブとなりうるため、アンジャン省政府が今後AWDの一層の普及を進める際の科学的エビデンスを国際農研が提供できたと言えます。

ワークショップには、農業農村開発省(MARD)南部事務所・アンジャン省農業農村開発局(DARD)・農業普及センター職員、共同研究機関であるカントー大学資源環境学科の教員、調査協力農家を含む稲作農家等、多くのステークホルダーの参加が得られました。

ワークショップはベトナム語で進められました。アンジャン省で農業普及を担当してきた責任者からは、AWDと化学肥料の節約等の諸技術をパッケージとしてわかりやすく「三減三増」のようなキャッチフレーズにして普及を進めてきたことが紹介されました。また、国際農研から政策として提言した圃場の区画整理の困難さへの指摘や、AWD水管理の運用を助ける水田水位モニタリングへのICT活用につき高い関心が示されるなど、JIRCASの今後の研究の方向性への示唆も多く得られたワークショップとなりました。

提言書を受け取るアンジャン省農業普及責任者(左)と飛田PD(中央)、カントー大学Chiemプロジェクトリーダー(右)

冒頭あいさつを行う飛田PD

提言を説明する宇野主研(右)とLoc学部長(左)

ディスカッション全景

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