オイルパーム廃棄木搾汁液からのエタノール生産におけるエネルギーの効率
オイルパーム廃棄木より樹液を効率よく搾るために開発したシステムにおいて、樹液からのバイオエタノール生産のための投入エネルギーおよび産生エネルギーを計算すると、投入エネルギーよりも産生エネルギーが大きい。
背景・ねらい
オイルパーム廃棄木のトランク(幹)より発酵糖を含んだ樹液を搾汁するシステムを開発し(村田ら、国際農林水産業研究成果情報 第17号)、ベンチスケールの搾汁装置を製作している1)。本装置を用いた際のエネルギー効率を評価するため、搾汁に関わる全エネルギーを見積もり、投入エネルギーとして計算する。またエタノール生産に関わるエネルギーを求め、エタノール生産に関わるエネルギー効率を計算する。
成果の内容・特徴
成果の活用面・留意点
- サトウキビからエタノールを生産する場合、バガス燃焼からの自己供給エネルギーを加味するとエネルギーの比率は8.3である2)。オイルパームの場合の本成果の値(4.8)より高い値であるが、オイルパームでも実用的には十分高い値と考えられる。
- 本研究は、実験装置(回転樹皮むき機)のサイズに合わせてトランクコア(20cm直径、長さ1.2m)の処理に要する消費電力を測定したデータであるが、33.74倍することで全トランク(40㎝x10m)に要するエネルギーを見積もることができる。
- 全トランク(40㎝x10m、重さ1.14トン)について輸送エネルギーは、プランテーションと搾汁工場の距離を8kmと仮定した場合47.2MJである2)(図2B)。肥料に関わるエネルギーは73.7MJであるが、本研究では、プランテーションでの肥料は、既にパームオイル生産で回収されていると考え、肥料の投入エネルギーはゼロとした2)。また、ベニヤ板工場からの廃棄物、トランクのコア(直径20㎝)を対象としているので、輸送エネルギーもゼロとした。
具体的データ
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表1 トランクコア(20cm x 1.2m)からの搾汁における投入エネルギー
*1 WhからMJへの変換式:Wh x 3,600s h-1、*2 計算式:MJ = (エネルギー合計:2.3MJ) x (100/40)
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図1 エタノールと搾汁残渣からの産生エネルギーのフロー図
青:生産物 赤:生産物からのエネルギー
*1 エタノールの熱量; 21.2 MJ L-1
*2 搾汁残渣のシステムからの回収量は80%
*3 搾汁残渣(50%水分含量)のLow heat value (LHV)は7.5 MJ kg-1
*4 作用熱量は最大熱量の20%として計算
*5 全産生エネルギー=(EtOHの熱量, MJ)+(残渣の作用熱量, MJ) -
図2 搾汁に関わるエネルギー
(A) トランクコア(20cm x 1.2m)(B) 全トランク(40cm x 10m)
全トランクの場合はプランテーションからの輸送エネルギーが加算される
- Affiliation
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国際農研 生物資源・利用領域
- 分類
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技術B
- 研究プロジェクト
- プログラム名
- 予算区分
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交付金 » アジアバイオマス
受託 » NEDO・提案公募型開発支援研究協力事業
- 研究期間
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2013年度(2011~2013年度)
- 研究担当者
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村田 善則 ( 生物資源・利用領域 )
荒井 隆益 ( 生物資源・利用領域 )
見える化ID: 001768小杉 昭彦 ( 生物資源・利用領域 )
- ほか
- 発表論文等
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Y. Murata, et al. Biomass and Bioenergy 51(2013) :8-16
- 日本語PDF
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2013_C07_A3_ja.pdf237 KB
2013_C07_A4_ja.pdf378.09 KB
- English PDF
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2013_C07_A3_en.pdf143.44 KB
2013_C07_A4_en.pdf185.51 KB
- ポスターPDF
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2013_C07_poster.pdf295.32 KB